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市原市米原 古滝園芸
古滝 義己さんのエラチオール・ペゴニア経営
千葉農業改良普及センター
野口 岳美
経営の概要と特徴
 古滝さんはガラス温室720坪でエラチオール・ペゴニアの周年生産を行っています。エ・ペゴニアとのつきあいは20年以上というベテランです。
 千葉県のエ・ペゴニアは品質、量とも全国一ですが、古滝さんはその生産者の団体である千葉県鉢花生産連絡協議会のペゴニア部会長を勤められたこともあり、県内のペゴニア生産の第一人者です。
 労力は経営主の義己さん、敏子さん夫婦と後継者の達也さん、文子さん夫婦の四人です。三年前に後継者夫婦が就農した時点で規模拡大を図りました。年間通して四〜五号鉢を東京都内や大阪市場に出荷しています。

生育段階別に担当者
 エ・ペゴニアの栽培は大きく分けて三つの段階に分けられます。まず親株の管理と苗生産です。次に鉢に植えて株を作ります。最後に花を咲かせて出荷です。それぞれの生育段階ごとに栽培環境が異なるので、ガラス温室の棟から棟へと鉢を順次移動して栽培します。この生育段階にあわせて家族四人が仕事を分担しています。
 良い苗を作るために神経を一番使う親株の管理と育苗は奥さんの敏子さんが担当です。定植やピンチは後継者夫婦が担当です。さらに、達也さんは土作りと鉢の移動も担当しています。一方、文子さんは目下お母さんから穂採りと育苗管理を勉強中です。経営主の義己さんは仕上げハウスの管理と出荷、経営全体の管理をされています。
 このように各自が成育段階に応じて責任をもっているのがブランド品を産み出す古滝園芸の秘訣と思われます。

仕上げはプールベンチで栽培
 鉢物栽培は水かけが一仕事ですが、平成十年に増築したガラス温室にはプールベンチを導入しました。
 かん水削減はもちろん、手かんすいの時よりも生育が均一となり出荷が揃うそうです。ただ水の殺菌管理には気を使っておられます。
 またこの温室のサイドは、スーパーソーラーを使い、クルクルで換気をしています。古い温室はガラスの引き戸換気のため風の強い日には鉢が倒れて困るのですが、この温室は換気の調節が手軽にできスーパーソーラーを使って良かったとのことです。

今後について
 花の価格が厳しい昨今ですが、消費者にとって魅力のある花は荷傷みがなく花持ちが良い荷であるという基本を守り、毎月出荷していくことが販路の安定確保につながると考えておられます。
 また都内の市場で知り合って結婚された後継者夫婦が自分たちで作付け計画をたてて栽培する草花用ハウスの規模拡大を計画中です。
 エ・ペゴニア専作であるにも関わらず、全国各地の新しい花の情報を集め、常に研究されている義己さん、花農家の女性グループの勉強会のリーダーでもある敏子さん、目下勉強中の達也さんと文子さん、四人のチームワークで古滝園芸のますますの発展が期待されます。

仕上げはプールベンチで栽培
 球根ペゴニアの園芸品種と冬咲きの球根性ペゴニア・ソコトラーナを交配して育成さえた球根性ペゴニアの一系統。
 育成者の名前からリーガース・エラチオール・ペゴニアとも呼ばれる。
 わが国には1964年に導入された。赤、黄、オレンジ、ピンク、白など花色に富み、日長処理により周年生産されており、華やかな室内鉢花として人気がある。
 シュウカイドウ科
 
「研究会開催」盛り上がる
 
 五月十一日サンライズ九十九里にいて、研究会開催、六十数名が参加、熱心な討論が行われた。現地見学会を毎年実施していたが、役員会の提言により、今年は見学会を中止し、農業用フイルム資材に関わる研究会に切り替えた。
 講師として、千葉県病害虫防除所の大木 浩さん、千葉県農業総合研究センターの安藤利夫さん、会員の根本重義さん(多古町)、鷺山利雄さん(旭市)、大木寛さん(野栄町)、鈴木太巳生さん(白井市),(有)房植の野口 学さん、吉田博幸さん(和田町)、協和種苗(株)の俵口泰生さん、みかど化工(株)の江上正之さん、に試験や経験などのお話をしていただいた。厚く謝意申し上げます。
 十時半から午後四時までの熱心な討論で、残念ながら詳細を紹介できない。ここでは要点のみ紹介する。ご質問のある方は事務局の中山(0436-74-1371)までご連絡いただきたい。特に房植さんと協和種苗さんから発表された新型ハウスについては次号で詳しく紹介する予定である。

1.スーパーソーラーと他の農POフイルムとの違い
 フイルムへの水滴の付着、つまり防曇効果の違いが顕著である。ヌルトボードンを噴霧塗布するスーパーソーラーが水滴防止効果が最も安定し、かつ長く、一度塗布すると、フイルム張替えまで再塗布する必要がない。
それに対し、最近市販されている他の農POフイルムは不安定で半年で塗り直した例もある。

2.ソフトソーラー
 スーパーソーラーの裏面(ハウスの内側)を梨地化した新製品。日差しの強い高温期の夏場にはハウス内に入る太陽光を散乱光にするため、作物は日焼けを起こさず涼しく感じられ、作業がしやすくなる。曇った日などハウス内の光が弱いように感じる方があるため、詳細な調査・試験が行われ、その結果、曇天の場合にも朝夕でも光量の低下はなく散乱光による感覚の錯覚によるものであることが明らかにされた。
なお明るく感じる直達光と違い、散乱光は株の根元まで光が入り作物の生育には望まれる光環境である。

3.UVソーラー
 (1)タバコガ、オオタバコガ,ヨトウムシ類、コガネムシなどには効果はないが、有しアブラムシ、スリップス、コナジラミ類、マメハモグリバエなどに対する忌避効果が高い。また灰色カビ病の発生抑制にも効果がある。しかし、ハウスに侵入した害虫は生存して活動する。サイド開放面への網張りを併用すると害虫防止はより完全になる。
 (2)ハウス内のカーテンやポリテープなどの劣化が減り、長持ちする。
 (3)作物の生育にはプラスになる。キュウリ、ピーマンなどの栽培に良い。
 (4)マルハナバチは利用出来るが、ハチの種類(販売元)により差異があるので、事前チェックが必要。ハチは数日でUVソーラーの環境にかなり慣れ活動するようになるが、結論までには至らなかった。マルハナバチが利用出来ればトマトの栽培にも適する。
また、マルハナバチ云々の前に、花粉・受精活動を高めるようハウスの温度を、日中は25℃以上、夜間は15℃以上に保つことが重要。ミツバチは使用出来ない。
 (5)戸外に飾ったり、一鉢で飾るシクラメンやペゴニアなど鉢物類では色が落ちて適さない。しかし何本かで室内に飾る切り花では色が優しくなり、草丈も伸びて、むしろ好まれることも多い。
鷺山利雄さんが実物を持参して見せてくれた。オキシテタラム(ブルースター)のように色が淡い花には不適であるが、多くの種類のガーベラやトルコギキョウでは色が少し淡くなるものがあるが、かえって優しい色となり上品な感じを与えるため販路の問題はない。

4.フルオープン
 発表された鈴木さんは雨に弱いヨーロッパ系のブドウ栽培のため、大木さんはミニトマトの暑い九月における定植と後の生育を助長するため、それぞれフルオープンにされ目的は達成しているとのこと。
 お二人とも展張後八〜九年に達している。鈴木さんは少しずつ張り替えており、大木さんも今年張り替える予定。鈴木さんはブドウの開花収穫期間以外は開けっ放し、大木さんは夏場は開けたり閉めたりしてハウスの温度などを調節されている。
 お二人とも強風による破損を一番心配されていたとのこと。鈴木さんは台風直撃の場合には約400坪のハウスを全面開放、その他の強風では密閉。大木さんは強風時には密閉。八年の間、風による障害は鈴木さんがフイルムの一部に破損を生じたほか、大木さんも問題はなかったとのことである。
 鈴木さんはフルオープンがブドウの良質生産につながるため今後も続ける予定である。大木さんは作物の生産に良く涼しく作業がしやすい利点はあるが、続けるかどうかは未定とのこと。長いクルクルの手動で、450坪、5連棟、長さ50mのハウスの開け閉めは決して容易でないのではと思われる。

5.紙マルチ
 現在、紙マルチの利用は田圃の雑草防除のための水稲栽培が中心で、鳥取県、岡山県などで少し行われている。環境に優しく、しかも地温低下に役立つとの謳い文句で、畑作にも入り始めており、千葉県でもホウレンソウなどの夏栽培に適用できるのではと関心がもたれている。
 紙マルチは普通のポリマルチに比べ厚く、重さは数倍、配布されたサンプルで感触を得られた。幾つかの色があるが、光反射力が大きい淡い色ほど地温の低下は大きく、裸地とほとんど同じ地温になる。
 問題は土中に埋め込むマルチ地際部が破れやすく、2〜4週間で地際全体に広がることを千葉県農総研で経験されており、その際、土寄せで剥がれを防いでいる。広い畑に於ける適用は難しいのでは。

6.スーパー白黒
地温低下をねらった、みかど化工(株)の新製品である。外観は白黒ダブルと同じであるが、白も黒の部分もやや厚く、白の光反射力は90%と高く、地温は裸地とほとんど同じまで低下する。地温低下が必要な夏栽培に適する。
しかし、栽培期間がながい施設トマトで地温が低くなる時期にかかる作型ではチェックが必要。なお価格はm2当たり50円とやや高いようである。

7.着色マルチ
 最近グリーン(緑)マルチのほかに、紫や茶系統など幾つかの着色マルチが市販され利用する農家も見られる。グリーンは雑草防止と地温上昇を兼ね備えたマルチとして確定、実証されている。
 その他の着色マルチはそれぞれ特性はあるものの、色の濃いマルチは雑草防除効果は高いが、地温上昇は黒マルチと同様に十分とは言えず、一方、色の淡いマルチは逆に地温上昇力は大きいが雑草防除効果は十分ではないと一般的に考えてよいようである。

8.シンプルハウス
(有)房植さんが「21世紀の新型低コストハウス」と銘打ったオリジナルハウスを開発した。海岸に接し、風しかも潮風が強い千葉県の立地に適応できるよう、風に強く錆びなく長持ちし、しかもコストの低い屋根型鉄骨ハウスで、普及が進んでいる。その詳細は前述したように次号で紹介する。

9.オーバルテックグリーンハウス
 協和種苗(株)がカナダから導入した新しいハウスで、北海道では施設園芸ばかりでなく畜舎としても利用がすすんでいる。
 農ビ利用から発達した日本のハウスと違って農POフイルム利用を前提としたハウスである。骨材は丸型パイプハウスに比べて強度アップした楕円形のパイプを用いている。そのため広いスパンを持ち幅広いドアーが得られ、明るく、大型農機具も導入しやすく作業がしやすい。耐久性に優れ屋根部分が日本のハウスに比べ楕円形で風にも強い。この新型ハウスについても詳細は次号で紹介する。

10.その他
 (株)みかど育種農場はPOフイルム専用の新型止め材の「POロック」など、東都興業(株)は新型フイルム止め材の「スライレール」などを、また、(株)槍木産業はハウス洗浄機の「ソフトクリアー」などについて、それぞれ紹介された。
 
有機質肥料のみを利用したトマトの無化学肥料栽培
千葉県農業総合研究センター
山本 二美
 千葉県では環境に優しい農業を推進するためにプロジェクトチームを組んで試験を行っている。環境に優しい農業とは農薬や化学肥料の使用を必要最小限に止めることである。
 ここでは、施設トマトを対象に化学肥料を用いず有機質肥料のみで栽培した結果を報告する。具体的には、有機質肥料の連用並びに施肥法の違いが収量・品質に及ぼす影響について検討した。

試験方法
 耕種概要を第1表に、肥料の種類と施肥法別投入量を第2表に示した。試験期間は1993年10月から1998年6月、年一作で6年栽培した。試験はガラス温室2棟(1棟92m2、腐蝕質黒ボク土)で実施。供試品種はハウス桃太郎とサンロードである。
 有機質肥料区には菜種油粕、発酵鶏糞,かに殻、骨粉、牛糞堆肥を施用した。比較対照の慣行肥料区は窒素成分として化成肥料67%、有機質肥料33%の割合で施用した。
 本試験では、有機質肥料の窒素肥効率を、菜種油粕・発酵鶏糞・かに殻・骨粉は各々70%、牛糞堆肥は30%として算出し、両区の窒素成分量を同一にするよう努めた。
 施肥法としては全面施肥区と溝施肥区を設けた。溝施肥区は施肥量の半分をベッド中央の幅40cm、深さ40cmの溝に施用し、残り半分を全面に施用し耕耘した。
 調査項目は等級別収量及び果実の糖度と硬度とした。

結果の概要
(1)収量について
 有機質肥料区は初期成育が遅れ、収穫開始時期が慣行肥料区に比べて7日ほど遅れた。上物収量は有機質肥料区は慣行肥料区に比べ全面施肥では第3作まではほぼ同等であったが、第4作以降では多くなった。溝施肥では全般的に多い傾向があり特に第3作と第6策で多かった。
 有機質肥料区内の比較では、溝施肥が全面施肥に比べ第5作と第6作で上物収量が多かった。有機質肥料を連用した場合、総収量がほぼ同等でありながら4作目以降の上物収量多くなった要因は、くず果及び変形果が減少し、上物率が高くなったことによる。
 また、溝施肥区で特に上物収量が多くなった理由としては初期の生育は遅れるものの収穫開始以降は根張りが良くなり、肥料が無駄なく吸収されることを指摘できる。根張りの良いトマトは水分の過不足、及びハウス内の温・湿度の変化に対して生育、収量が安定しているとの報告がある。

(2)果実の品質
 糖度は年次間差はあるものの、肥料の種類、施肥法の違いによる明確な差は見られなかった。硬度についても同様に明確な差は認められなかった。

まとめ
 トマト作に対し、化学肥料を用いず有機質肥料のみを利用した栽培法を6年続け、慣行栽培法と比較した。
 前述したように、慣行栽培に比べ初期成育がやや遅れ収穫開始時期も遅れたが、総収量に差がなかったばかりかくず果や変形果が減り上物収量は同等かむしろ優る傾向さえ示した。品質の一指標としての果実の糖度,硬度では差異は認められなかった。
 6年6作の試験期間は長いとは言えない。両区の差異などの要因の追求までには至っていないが、環境問題対応から意義ある結果として多くの示唆を与える。有機質肥料は全面施肥より下層まで深く施した溝施肥で上物収量が優ったことなどこの栽培法は根張りを良くし、肥料が無駄なく吸収されるのではないかと考えられる。
 有機質肥料のみの栽培の実際化のための留意点を二つ示しておく。
 一つは経費である。肥料代が高くなるのではとの心配である。本試験で用いた肥料例で算出した結果、慣行区と同等であった。菜種油粕と発酵鶏糞を主体とした有機質肥料の施肥設計にすれば、慣行施肥とほぼ同じ経費になると考えてよい。
 もう一つは作業性である。有機質肥料は化学肥料に比べて、総投入量が多く、種類も多いため、散布時の作業量は増える。

第1表 施設トマトの耕種概要と施肥量
品種 播種日
年.月.日
定植日
年.月.日
収穫
段数
施肥量(N-P-K)
有機質肥料区 慣行区
第1作 ハウス桃太郎 93. 10. 30 94. 1. 17 8 3.9 - 4.9 - 2.6 4.1 - 4.5 - 3.6
第2作 ハウス桃太郎 94. 7. 12 94. 9. 2 6 2.1 - 3.0 - 1.2 2.0 - 2.3 - 1.1
第3作 サンロード 95. 1. 9 95. 3. 6 6 1.8 - 2.4 - 1.2 2.0 - 2.3 - 1.8
第4作 ハウス桃太郎 95. 9. 28 95. 12. 3 8 2.8 - 4.5 - 2.2 2.8 - 3.6 - 2.4
第5作 ハウス桃太郎 96. 9. 20 96. 11. 14 8 2.6 - 3.9 - 1.9 2.7 - 3.2 - 2.3
第6作 ハウス桃太郎 97. 9. 26 97. 11. 27 9 2.5 - 3.2 - 2.3 2.5 - 3.3 - 2.2


第2表 肥料の種類と施肥法別投入量
肥料名 有機肥料 慣行肥料
全面施肥 溝施肥 全面施肥 溝施肥
全面部 溝部 全面部 溝部
  kg/a kg/a kg/a kg/a kg/a kg/a
菜種油粕 15.0 7.5 7.5 5.0 2.0 3.0
発酵鶏糞 15.0 7.5 7.5 5.0 2.0 3.0
かに殻 6.0 3.0 3.0 5.0 2.5 2.5
骨粉 8.0 4.0 4.0 5.0 2.5 2.5
IB化成 0 0 0 5.4 2.7 2.7
ロング140 0 0 0 6.4 3.2 3.2
牛糞堆肥 700.0 300.0 400.0 200.0 100.0 100.0
N-P-K 2.8 - 4.5 - 2.2 2.8 - 3.6 - 2.4

 
雹(ひょう)害などによるフイルムの白化は心配なし
 
 昨年五月二十四日に、東葛飾、印旛,山武を襲った大雹害から一年たちました。今年も茨城、埼玉などで雹害がおきています。
 昨年のような大雹害は稀ですが、大・小豆粒ぐらいの大きさの降雹は県内でも時々あります。
 スーパーソーラーは大豆程度の雹では孔は開きませんが,雹の衝撃により、フイルムが伸びたり、ちぢみ、局所的に白化することがあります。しかし、白化は心配ありません。しばらくすると消滅します。このことについて昨年プラカル27号で紹介した結果、そのまま放置された方が多く、現在はその痕跡すら分かりません。
 フイルム展張の場合に、フイルムを引っ張ると、抑えた指の部分が白化するのと同じ原理、スーパーソーラーフイルムの一つの特徴です。
 
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