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猛暑対策のハウス
 
猛暑はこれからも起こる
 今年は記録的な猛暑であった。平成六年も記録的な猛暑と言われた。一昨年も猛暑であった。いずれの年も雨が少なく困った。猛暑が珍しくなくなった。
 猛暑が話題になってきたのは、この十数年である。その原因としては地球温暖化の関与が大きいと言われる。つまり工場や自動車などから排出される温室効果ガスになる二酸化炭素などの増加によるものである。地球温暖化が進むと、気温上昇に加え,雨も少なくなる傾向がある。雨の降り方も熱帯の驟雨のように、集中豪雨で、隣の町は降ったが我が町では降らないような、降り方も局地的になる傾向が強まる。

ハウスの高温対策
 千葉県のハウス生産は秋から春にかけての冬生産が中心であるが、ハウスや作業など経営効率を考えると、夏生産も重要である。夏生産にとって大切なことはハウスの温度低下など暑さ対策である。その暑さ対策として、みかど化工(株)の二つの資材が話題を呼んでいるので紹介する。

(1)ソフトソーラー
 冬期のハウス密閉条件では、スーパーソーラーと変わらない透明性を持つが、夏のハウス開放条件ではフイルムが梨地化する。内部が見えないほどハウスが白っぽくなり、遠くからも識別できる。しかし、ハウス内への透過光量はスーパーソーラーと差異はない。
 ハウス内の温度は梨地化が強まる夏季では最高気温がスーパーソーラーより1〜2℃低い傾向をもつが,散乱光のため、体感温度は温度以上に下がった感じを受け、作業がし易い。作物全体に光が当たり、光合成が向上、また花きや観葉植物の日焼け防止に最適。
  作物にも人にも優しい、暑い夏に向くフイルムと喜ばれ、使用農家が急増している。

(2)UVソフトソーラーとサンソフターの組み合わせ
 UVソーラーは虫害回避をねらいとした紫外線カットのスーパーソーラーの姉妹品。サンソフターは布製の白色非蓄熱性の新しいカーテン材で、ハウス内の気温抑制は素晴らしいものがあり、しかも軽い。紫外線に弱い欠点をもつが、UVソーラーとの組み合わせでは欠点が補完され、威力を発揮、使用者からハウスの高温対策として抜群の賛辞が送られている。
 サンソフターは白色で反射力が大きいため、従来の遮光カーテン材に比べ、同一遮光率でもカーテン被覆下で明るく(雪の夜が明るい現象と同じ)、“光があって温度が低い”理想的環境に近づいている。しかし光遮光率約50%であるので使用時間は日中に限られる。なお、サンソフターは特許登録されている。
  UVソーラーはミツバチ使用作物やナス栽培ではでは使用できないが、キュリ、ピーマン、ニラ、葉根菜類の栽培には適用性があると言われ、使用拡大が望まれる。
 
旭市新町
石井 保光さんの養液トマト栽培
海匝農業改良普及センター
畑 俊男
就農三年目の兆戦
 石井さんは、一九九八年に学校を卒業してすぐに就農しました。しばらくの間はご両親の手伝いをしていましたが、一年を過ぎたころ、「一つ部門を任せるから自分自身で思うとおりやってみろ」と言われ、何を栽培しようかといろいろ考えました。
 ご両親の栽培する越冬キュリー夏秋トマトは旭市で最も主流の経営であり、収入は安定しています。しかし自分が経営していくことを考えると、今一つ感じられず、魅力に欠けると思っていました。
  学校や本で学んだことから考えたり、普及センターのセミナーや知人の紹介で、あちこちの施設栽培を見学した結果、石井さんが選択したのは養液栽培のトマトでした。家族への説得や後継者資金の借り入れ、建設業者との交渉など、初めて経験する大変なことばかりでしたが、2000年夏にようやく自分の城を持つことができました。

施設の概況
 500坪の鉄骨ハウスに,協和ハイポニカE型のシステムが入っています。今後は半促成と抑制の年二作で栽培してゆく予定です。屋根は張り替えの手間もあるので硬質フイルムを展張しましたが、側面にはスーパーソーラーを使用しています。
 ご両親は静岡型のハウス520坪を経営しており,水稲も3haあります。石井さんも手伝うことがよくあります。一緒に作物を管理ししながら得られた知識と経験が、やはり一番の勉強になっているということです。

経営を任されて
 ご両親は、石井さんに部門を任せるにあたって、一切助言をしないことにしました。石井さんが実際に栽培を始めてからは、人手がたりないときに手伝いを頼むことはありますが、ほとんど一人で頑張っています。養液栽培も冬のトマト栽培も実際にやるのは初めてなので、大きな希望とともに不安もありました。
 初めて一人で栽培することになった越冬栽培では、やはり事前に勉強したとおりにはいかず、コナジラミが大発生してあまり良くない結果となってしまいました。防除の仕方一つでも、こんなに難しいものかと思ったそうです。
 その経験を活かして、次の抑制栽培では,非散布型殺虫剤をあらかじめ使用し、「害虫が出る前に抑える」ようにしました。害虫や病気が発生してから防除するのではなく、あらかじめ発生しない状態をつくってやることがとても重要だということが良くわかりました。
 また、お父さんは「部門を任せるようにしたことで責任が生まれ、とても真剣に取り組んでいる。経営者としての自覚も出てきて、売り上げだけでなく経費のことまでよく考えるようになった。」とより一層成長された石井さんに目をほそめています。でも「栽培はまだまだ」とか。

今後の目標
 当面は、養液栽培のトマトを順調に栽培し、高い品質で安定した収量をあげることが目標です。販売面でも幅を広げていくために、マルハナバチの利用や減農薬など、消費者に生産物をアピールできるような栽培を目指しています。また、他の作物との組み合わせも考え、養液栽培にこだわらない経営をしていきたいとも思っています。
 そのために、今後もIPM(総合的病害虫管理)等の技術を取り入れている産地へ積極的に視察に行ったり、情報誌をよく読んだりして、常に新しい情報を取り入れるようにしたいと考えています。
 
新規なオーバルテック
グリーンハウス
協和種苗(株)資材部
俵口 泰生
 近年、スーパーソーラーを代表とするポリエチレン系(PO系)厚地軟質フイルムの評価が高く,急速度で普及している。しかしPO系フイルムを展張する施設、中でも主流であるパイプハウスは従来のビニールを展張するパイプハウス構造そのままが多い。フイルムの特性を活かしたバンドレス並びに褄部及び肩部ビニペット固定張りがクローズアップされ普及し、ややもすると、その展張方法による弊害並びに構造強度が無視される傾向がある。
  みかど化工(株)はスーパーソーラーの上市に伴い、展張方法、固定部材やハウス構造の強度強化を提言してきた。協和種苗鰍フ資材部門はビニールハウス全盛の時代からパイプハウスの構造など草分け的な役目を果たし、多くの実績、知見をもっている。スーパーソーラーの総代理店(九州及び一部を除く)としてだけでなく、当社が関わってきた歴史的背景からも、農業用ビニールを基調としたパイプハウスを提案したときと同様に、厚地PO系フイルム専用のパイプハウスを提案することが責務と考えている。

フイルム資材によってパイプハウスはどう変わるか
 欧米にもパイプハウスはあり、そのフイルムはPO系フイルムである。欧米のパイプハウスは
簡易トンネルパイプハウスに留まり、日本のように換気、保温、遮光等の付加されたパイプハウスのイメージがないと考え、現在の日本のパイプハウスは欧米のパイプハウスに比べ,付加された機能など総合的に優れていると自負してきた。欧米はダッチライトに代表されるガラスもしくは硬質フイルムによる高コスト機能総合グリーンハウスであり、日本のように低コストで建設が容易な機能総合パイプハウスはないと、ある意味では馬鹿にさえしていた。
 ところが、PO系フイルム使用の機能総合パイプハウスが存在していた。日本のパイプハウスには付加しにくい大型天窓までも容易に取り付けできるハウスである。そのひとつがオーバルテックグリーンハウスである。
 写真を見て戴きたい。なんら変哲もない単棟パイプハウスである。しかし間口10.7m、奥行77m、パイプスパン(パイプ間隔)2.1mのハウスと聞くと信じられないのが普通であろう。しかも奥行き方向に向かって幅約1.5mの天窓が長さ30mに渡り二連付加されている。さらにフイルム展張は寒冷地仕様として、天井及びサイド面は、PO系フイルム二枚重ね張りにハウス内の暖気をその間に吹き込むエアードーム張りとなっていると、驚きである。写真のハウスは、当社札幌営業所がカナダハルノア社より輸入し、北海道十勝管内の音更町に昨年十一月に設立した大野氏のハウスである。今年の厳しい冬の風雪を耐えて、アスパラガスの栽培が行われている。
オーバルは楕円を意味しており、オーバルパイプは断面が楕円形である。日本で使用している丸型パイプは強度バランスでは優れているが、オーバルパイプは楕円の長編が垂直荷重を受ける仕様とした場合、さらにハウス骨組み構造をひねりやたわみによる揺れを極小にした構造にすれば、強度的に非常に優れたパイプと言える。
 日本ではひねりやたわみによる揺れのないハウスとしてH型鋼、C型鋼仕様で、構造的にトラス構造やラーメン構造で建設されてきた。そのため高機能ではあるが、高コストのハウスであった。一方,被覆材が塩ビでフイルムの伸び強度があるためハウス全体が揺れても,吸収の容易な現在のパイプハウス構造になったとも言える。
しかるに欧米では日本と違ってPO系フイルムが主流で、それを仕様としたハウスが成長してきた。したがってPO系フイルム専用のパイプハウスを学ぶには、素直に欧米のパイプハウスを学ぶことが賢明と言える。

  下記に欧米のPOハウスで学んだことを記す。
(1) 機能総合パイプハウスに使用されているPO系フイルムは、0.15mm以上の厚地のフイルムで、フイルム特性自体に一部ハウス構造強度を付加した面がある。したがってパイプスパンを広くとることができる。フイルム特性によりスパンを広くしても、塩ビで見られる金魚鉢現象が起きにくい。

(2) パイプスパンが広いと採光の面においても影が少なく、光を十分取り入れることができる。
 またパイプアーチ本数を大幅に減らすことができ、そのコストをオーバルパイプの大口径、アーチ独立基礎等に仕向けることができ、パイプハウスの構造自体にコストを掛けられる。

(3) オーバルパイプアーチは日本で言われる主骨アーチで,主骨アーチのみでパイプハウスが構成されている。したがって、日本同様にアーチ一本一本にハウスに掛かる引き上げ力に対抗する頑丈な基礎で一つに構造強度をもたしている。

(4) 棟材、母屋材として、日本では直管をハウスの奥行方向,通常アーチの下部にワイヤーもしくは金具等で取り付け、接点は一ヶ所としてハウスの揺れに耐え得る構造としているが、オーバルパイプハウスではスパンごとにオーバルの短管をアーチで挟み、短管の両端をアーチにボルトで固定している。
 外観的には日本と同様に棟材が奥行き方向に通してあるように見えるが、ハウスの揺れを小さくする工夫がなされている。またハウスの内側の水分が母屋材の位置で水滴となり、いわゆるボタ落ち現象を防ぐため、ハウス内側に弓なりにした短管を使用する工夫もある。

(5) 梁については日本と同様であるが、オーバルのパイプでアーチ毎、横梁にアーチにV字型に梁を取り付け、トラス構造として垂直荷重強化及び横揺れ防止としている。

(6) 奥行き方向の縦揺れ対策としては、日本の筋交いはなく、アーチの基礎部分が動かないように強化することで回避している。基礎部アーチを同じく短管もしくは15mm厚みの板で奥行き方向に繋ぎ、強化している。

(7) 真正面から風を直接受けるハウス褄面の強化としては、横梁及びアーチから褄面を支える梁をとっている。また風の抵抗が強い被覆材としてPO系フイルムの代わりにポリカーボネイトの硬質樹脂による複層板を使用し,風への抵抗強化と褄面の横揺れ防止としている。

おわりに
 欧米の軟質PO系フイルムを基調としたオーバルテックハウスの基本構造を紹介したが,百聞は一見に如かず、北海道に設立されたカナダから輸入のオーバルハウスを見ていただきたい。筆者自身、目から鱗が取れたおもいであった。
なお、当社では、同ハウスを上市、普及すべく、協和種苗(株)袖ヶ浦農場に日本式に若干アレンジしたハウスを建設中、本誌が発行する9月末には完工していると思う。ぜひとも厚地PO系フイルム(スーパーソーラー)専用のオーバルハウスを見て戴きたいと願っている。

 
マルチ栽培読本(4)
 
透明フイルム・黒色フイルム
Aさん 今回から各論にはいります。フイルムマルチとして最初に導入されたのは、透明と黒色のフイルムであり、現在も最も広く使われていますね。
B博士 透明フイルムはポリエチレンの原体からできる生地のフイルムです。したがって価格を安く設定でき、しかもフイルムマルチの最初のねらいである地温の上昇効果が高いからです。
Aさん 太陽光線がまともに入り、地温が上がるとなると、雑草が生えやすい。
B博士 鍬を用いてマルチをした頃は、フイルム張りも十分とは言えず、雑草がフイルム下に発生、繁茂して困った経験を多くの方がしています。その対策として開発されたのが黒色フイルムです。黒色の材料は無機質のカーボン粉末ですので,褪色性に優れ、雑草を完全に防止出来ます。
Aさん 地温の上昇は透明フイルムに及ばないが,裸地より高い。雑草防止に加えて、土壌の水分や膨軟性の保持などマルチそのものが持つ利点がある。農家が黒色マルチを積極的に導入したのは当然ですね。
B博士 しかし、黒色フイルムマルチは有翅アブラムシやスリップスなどの害虫の飛来が多く,食害やウイルス病の発生につながると言われています。また劣化しやすい欠点もあります。
 その対策として、みかど加工(株)ではアルミ粉末処理をしたノックアウト黒(KOブラック)を開発しています。特殊な反射力で害虫飛来にたいし強い忌避効果のあることが実証されています。また、KOブラックは他の黒色フイルムに比べ劣化しにくく、使用後のフイルム除去も容易です。
Aさん 黒色フイルムが害虫飛来の多いことは知りませんでした。KOつまりノックアウトは害虫に対するノックアウトのわけですね。
KOマルチシリーズとして、KOブラックばかりでなく、KO透明、KOグリーンもありますが、いずれも害虫の飛来防止をねらっているわけですね。
B博士 そうです。現在のように環境問題がクローズアップされ、新鮮で安全な食料が求められる時代では、農薬利用は出来るだけ控えたく、マルチ資材の選択に当たっても、その考慮が大切です。KOマルチシリーズは時が求め、それに即応した製品です。
KOフイルムを張る場合には銀色がかった面を表にします。

当社の全てのフィルムは、農作物栽培現場におけるフィルム劣化促進作用を軽減するために、特許第2138850号に基づいた特殊配合を施してあります。 Copyright Mikado Chemical M.F.G Co. All Rights Reserved.
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