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旭市野中
石毛 正浩さんの草花切り花経営
海匝農業改良普及センター
若松 真由美
経営の概要
 石毛正浩さんは、鉄骨ハウス7棟・パイプハウス2棟、計1800坪の施設花き経営をされています。昭和五十一年に就農、同五十四年から施設キュリ栽培を始めました。その後、マスクメロン、ミニトマトなどに取り組み、平成二年にトルコギキョウを100坪試作し、翌年から本格的に施設花きに経営転換をしました。
 労力は、石毛さんご夫婦とご両親の四人にパートさん一人です。
 栽培品目はデルフィニュウムのマリンブルー・ペラドンナを柱に、オリエンタルユリ、アレンジメントアスター、ブプレウラムなど年間15品目程度、60万本を出荷しています。

経営・栽培の特徴
 平成六年に導入した選花機を活用できる品目を選定、購入苗の利用により年間施設二回転以上の作付けを行っています。選花機導入で単位時間当たりの選花作業は三倍になり、栽培体系上にも大きな変化をもたらしたとのことです。切り花単価の低下もあって、昨年からは春定植の夏作にも積極的に取り組み、年間出荷本数の増加を図っています。
 石毛さんの栽培の特徴は、一回一品目の作付け面積が大きいことです。200〜400坪のハウスごとに、一品目をまとめて作付けすることで、ハウスごとに栽培管理を統一し、生産を安定させ、効率的に作業を行うためです。また購入苗の場合、まとまった数を導入することで、価格交渉を有利に行うことができます。日頃から種苗会社との情報交換も緊密で、新しい品種などの導入も積極的に行っています。
 販売面でも単品目の出荷量をもつことになるので、市場担当者との情報交換を密に、セリ中心から相対・注文取引対応を強化したいとのことです。

スーパーソーラーについて
 現在のハウスのうち1500坪がスーパーソーラー・スーパーソーラームテキ・UVソーラーで、性能を比較しているところです。
 UVソーラーは、内張り資材の傷みが少なく、病気や害虫の発生も少ないようで、花では使い易いとのこと。美しい紫紺色の花をもつデルフィニュウムのマリンブルー・ベラドンナの花色にも影響はないようです。
 他のメーカーからも同様な素材がでていますが、今のところ丈夫さとハウス内の流滴性(乾燥度の持続性)、価格を考えると,代わるものはみつからないとのことでした。

今後について
 昨年すえから大田市場のFAJで始まった、エルフシステムという湿式バケット輸送を導入しました。
 箱詰め作業がない、集荷にトラックが家まで来ることで出荷作業が軽減され、FAJへの出荷割合が増えているそうです。これから高温で切り花が保たなくなる時期が、湿式輸送の真価が問われるので、バケットの水の管理などに気を使っているそうです。
 当面の課題は、充実した家族労力中心の現在の経営から、家族構成の変化も考えて、雇用をうまく取り入れていきたいとのことです。
 個人販売ということで、地元の切り花生産者の研究会である旭フラワーカンパニーのメンバーや全国の生産者との情報交流が現在の経営を支えてきました。また妻の秀子さんは、パソコンによる販売管理や簿記記帳などに積極的に取り組み、良きパートナーとして頑張っています。
 今後も、消費する立場から使いやすい価格品質の切り花の安定供給を目指して、ますますの活躍が期待されます。
 
現地見学会を開催
 
「花き部会」
 四月十日(水)に開催。旭市新町の総合宴会場「よし野」に集合、午前に海宝正一さん(東庄町)のカーネーション栽培と加藤正嘉さん(干潟町)の苗生産を見学、午後は旭市の鷺山利雄さんのガーベラ栽培と石毛正浩さんのデルフィニュウム栽培、さらに隣の鉢物栽培(エラチオールペゴニアなど)の飯笹均さん、石毛光男さんのハウスにもおじゃまし、最後に飯岡町の大久保松太郎さんのトルコギキョウなどを見学、午後四時ころ散会した。天候に恵まれ、五十七名が参加された。
 見学会の開催に当たっては、香取及び海匝の農業改良普及センターのご指導、ご協力をいただいた。厚く謝意を申し上げたい。
 海宝さんのハウスは風の強い高台にあり、東庄のコカブで有名なスーパーソーラーハウス群の中に位置している。カーネーション一途に経営をやってこられ、今年の関東東海花の展覧会では、見事に農林水産大臣賞の栄誉を獲得された。カーネーションの部の大臣賞は千葉県北部では初めて、今年はここ五〜六年で最も品質の良い品が多数出品されたとのこと、そのトップ、心から祝福申し上げたい。
 賞を得られた品種はレスター、一本ずつの花,花柄、花蕾がお互いに協調して、二十本がまとまると、全体として新たな暖かい雰囲気をもつ個性を生み出して,素晴らしかったと、審査員であり、当日出席された千葉県農業総合研究センターの細谷宗令室長のお話があった。細谷さんには審査会に出品する方法なども教わった。それを頭においてレスターをはじめ多くの品種を鑑賞した。
加藤正嘉さんのハウスにはサフィニア、マリーゴールド、バーベナなどの鉢物、ナス、トマト、ピーマン、トウガラシなどの苗が育成され、出荷の最盛期であった。屋根の高い大きなハウスが二棟に分かれ,一棟はスーパーソーラー、一棟にはUVソーラーを展張、紫外線カットの有無による作物の生育・色などをチェックされている。一年経過で大きな差異はないが、もう一年検討し、問題がなければ,全棟をUVソーラーに統一したいといわれる。UVソーラは害虫飛来を抑制し、ハウス内のカーテンやテープが傷まない利点がある。
 鷺山利雄さんのハウスは家の周囲に約1500坪、栽培の主体はガーベラであるが、一部は経営の第二の柱となる新たな品目の開拓を進めている。個人出荷の鷺山さんは顧客の需要にあった色・品質・時期などにきめ細かい対応の出来ることが大事と考え、品種も30種以上に及び、新品種の試作も熱心に行っている。
 ハウスはほとんどがUVソーラー、花の色はスーパーソーラーよりやや軟らかくなる感じ、都会の顧客には喜ばれるという。カーテンは明るく、温度制御に優れ、開閉作業が楽なサンソフターを用いている。
 鷺山さんから紫外線カットのソフトソーラーの積極的な市販を求められた。
 石毛正浩さんも鷺山さんと同じ旭フラワーカンパニー(AFC)の仲間、鷺山さんと同様に研究熱心であり、デリフィニュウムのマリンブルー・ベラドンナを柱に、オリエンタルユリ、アレンジメントアスターなど幾つかの品目を栽培されている。またUVソーラーを使用され、デルフィニュームの素晴らしい紫紺色に影響ないのか、驚いた。UVソーラーは花では使いやすいと言われる。
 隣接する飯笹均さんと石毛光男さんのハウスも見せていただいた。
栽培しているエラチオールペゴニアなどの鉢物は素晴らしい生育、ハウスも周辺も奇麗に整備されており感心した。
 予定以上の見学をして、時間が三時を過ぎたため、大久保松太郎さんの所は三川の海岸近くのトルコギキョウとキンギョソウのハウスを見せていただいた。トルコギキョウは開花の直前であり、美しい花を見ることはできなかった。大久保さんは飯岡町で最初にトルコギキョウを導入され、乾燥の激しい砂地における安定栽培、ロゼット抑制の冷蔵育苗技術を確立されるなど研究を進められている。


「野菜部会」
 六月五日(水)に開催。九十九里町の「サンライズ九十九里」に集合、午前に九十九里町の古川靖久さん(ナス・トマト・キュウリ)と鈴木啓司さん(ナス)のハウスを見学、午後は八街市の江口幸男さん(コマツナ)、井之輪和男さん(ショウガ)と榎本輝夫さん(スイカ)のハウスを見学した。
 六十五名が参加された。天気は晴れで見学日としては良かったが、雨が少ない旱ばつ気味の天候が続いていただけに一雨欲しい気持ちで巡回した。
 見学会の開催に当たっては、山武及び印旛の農業改良普及センターのご指導、ご協力をいただいた。厚く謝意を申し上げたい。
 古川さん、鈴木さんとも訪問時にはナス作が中心であった。九十九里町はナス作の盛んな所であるが、お二人とも促成あるいは抑制のトマト、キュウリと結合した作型をとっておられる。天候に恵まれたこともあり、ナス作は良質、豊産で、伺った日も荷が多く、出荷真っ最中の多忙な時間であった。
 古川さんは、トマトを柱とした経営を進めてきたが、トマトは輸入による価格の低減が最近著しい。それに対しナスの価格の変動、低減は比較的少ないため、今年はナスに少し比重をかけたとのお話。これからの農業は輸入攻勢への対処はもちろんであるが、労働コストなどコスト低減が重要とのお考えである。資材の選定についても同じ、スーパーソーラーは長持ちするから有り難いとのお言葉もいただいた。
 江口幸男さんは、最近、トマトなどの栽培からコマツナに切り替えられ、新しくブロッコリーなども導入されている。コマツナは年に五回ないし六回廻しておられる。良質な品種は耐暑性に弱く、夏場の栽培には苦労されるという。コマツナの連作障害対策としては、障害菌の撲滅ではなく、障害菌と有用菌のバランスを図るよう考え、有用菌の購入を行っている。
 日焼けなどの障害は品質阻害の一因になることから、ハウスの立替え分から、スーパーソーラーをソフトソーラーに張り替えている。
 井之輪和男さんの所では、蒸気土壌消毒の効果を見せていただいた。臭化メチル処理の代替処理方法の一つである蒸気土壌消毒が井之輪さんのハウスで業者が来て実施したことをプラカル前号で紹介したが、その結果はNO(ノー)であった。
 臭化メチルで処理したハウスの三分の一のショウガは揃った見事な生育であったが、三分の二の蒸気消毒処理のショウガは不揃いで、病気も出ており、欠株の所には雑草が生えてきていた。
 蒸気消毒機をはじめ最近開発される各種機械は何百万円と高価なものが多い。それらの導入に当たっては,試用などして十分過ぎるチェックが必要である。
 葉ショウガの出荷時期でパートさんらが出荷の調整作業中の忙しい中、味噌をつけた葉ショウガを味あわせてもあった。うまい。葉ショウガになじまない若い人が多いという。伝統の味を忘れる最近の風潮は残念である。
榎本輝夫さんのハウスのスイカは訪問時には最後の収穫、出荷。六月中旬からはトンネル栽培のスイカの収穫に移る予定とのこと。ハウスのスイカ後は八月からコカブの栽培を計画されている。二十数棟の大きなハウスの六棟はソフトソーラー、日焼け防止にソフトソーラーに順次切り替えてゆくという。たくましい息子さんが今後の計画を熱心に説明してくれた。
 スイカのご馳走にあずかり,その旨さに購入する者も多かった。
(株)槍木産業さんのハウス外張り洗浄用の「背負いあらいぐま」の実演も見学でき、また新しいアイデア商品である夏場の防熱用冷却スポンジ「ひやっこ涼涼」の紹介もあった。
 サンライズ九十九里に戻る車中、皆さんから実りある見学会であったとお言葉をいただいた。
 
印西市草深(そうふけ)
富澤一郎さんの スイカ・メロン・トマト経営
印旛農業改良普及センター
北原 久美子
千葉ニュウタウンに隣接
 富澤一郎さんの住む印西市草深は、北総開発鉄道が走り、マンションが軒を連ね、都会に通勤する方々が多い新しい都市近郊地区です。
 富澤さんをはじめ、この地区の二十戸の農家は、パイプハウスを利用して、スイカ・メロン・トマトを中心に多種の野菜を栽培し、共販だけでなく、地元への販売も活発に行っています。
 印西市の農家の皆さんは、昔ながらの行商(トマト、インゲン、キュリ、ナスなどの多種類の作物を栽培し、週二回ほど東京に売りに行く農家)のスタイルをとる方がかなりいます。生産から販売まで自己完結型で、これといって販売の組織活動をしていません。しかし、草深の皆さんは、スイカ、メロン、トマトなどの作物ごとの部会や、直売組織の部会運営にも取り組み、生産から販売まで、部会として注意深い検討を行っています。
 “今の農家は、栽培することは得意だが、販売することは全くだめだ”と批判めいたことがよく言われます。しかし、このことは草深の農家の皆さんには全くあてはまりません。
 たとえば、メロンについて。最近、不景気のため、販売高がやや減少したものの、“印西メロン”として、贈答用を主に、多くの地元客の期待に応えています。“甘いのが欲しいわ”、“大きいのが欲しいわ”、“赤(肉色)と青(肉色)のが欲しいわ”といった、庭先から直売所まで聞こえてくるお客さんの声を、農家は非常にシビアに受け取っています。その声をメロン部会の会合の中で、品種選びから栽培までへと反映させています。そして、販売を主に担当する部会員の奥さんたちも、独自で、圃場の巡回学修をされたこともあります。約4haほど作付けされたメロンが、共販には一切のらず、全て地元で完売されるのは、これらの努力の現われといえます。


地区のキーパーソン・富澤さん
 富澤さんは、約50aの無加温パイプハウスと露地畑を利用して、大玉スイカ,小玉スイカ、パパイヤメロン、ネットメロン、トマト、ピーマンなどを栽培しています。スイカ、トマトは共販中心で、他の作物は多種の地元販売ルートを確保しています。
 富澤さんは,御年五十一歳、各部会のなかでは若い方ですが、他の部会員への影響力は強いものをもっています。特に、この地区のトマト、メロンの品種動向には、富澤さんの意向が強く反映さえています。
 有り難い事に、富澤さんは普及センターからお願いする新しい品種や農薬などのテストを快く受けて下さいます。しかも、そのテスト結果を確認する頃には、ご自分なりの“見解”を作り上げているのです。このことに私は大変助けられています。ユーザーの立場からの見方を理解することができ、農家の皆さんのためとしての普及の仕事を、良い方向へ向かわせてくれるからです。


富澤さんのこれからの夢
 以上のように、回りの人々に大きな力を与える富澤さんが、“俺の戦略”を語ってくれました。それは、意外にも、今まで一番多くの労力と期間と面積を割いてきたスイカ栽培に、いつまでも固執をしないことでありました。
 スイカの長期間にわたる管理が、不安定な市場相場に見合ったものであるのか?また、近くに大きなスーパーマーケットができるが、スイカへ割く労力を、この地区の客を呼び寄せることへ転換したほうがよいのでは?というのが理由でした。
 また販売も、ここ草深地区だけにこだわる必要はなく、都心にはもっと良い販売環境が沢山あるのだと、お話しする姿がとても楽しそうでした。

 
マルチ栽培読本(7)
 
反射フイルム(続)
(4)ミカクール
Aさん 前号で白黒ダブルの反射力をより高めた新製品の話がでましたが、みかど化工(株)がミカクールの商品名で販売を開始したようですね。
B博士 “抜群の地温低下効果を発揮する強力光反射マルチ”が謳い文句で試験販売を開始しました。可視光線の反射性は白黒ダブルでは約50%ですが、ミカクールでは80%とかなり強い反射力です。
Aさん どの程度の地温降下を期待できるんですか。
B博士 真夏における地表面下7.5cmで裸地と同等ないしは1〜2℃低い結果がでております。
Aさん それだけ下がると、この前にお話されたように、夏季の高地温に起因するといわれるトマト・ナスなどの青枯病の抑制に効果的ですね。抑制メロンで収量・皮質が大幅に向上したというのも分かります。
B博士 ミカクールは地温低下の効果ばかりか、反射による補光も大きくプラスに働いていると思います。実際に、光が弱い秋冬季のトマトや花栽培にも補光利用のため通路にミカクールを敷く方法が進められています。
 ミカクールはやや厚手で、価格も少し高いようですから,二作以上、特に補光用に通路に敷く場合には汚さないようにして二度、三度と利用する心構えが必要です。

通気性フイルム
(1)サマーマルチ
Aさん 白黒ダブルや銀黒ダブルに小さな通気孔を全面に開けたマルチがサマーマルチの名称で市販・利用されていますね。
B博士 直径3mmほどの小さい孔で4cm間隔であいています。普通のマルチに比べ、孔からの水分蒸発により、地温が低下します。白黒サマーでは白黒ダブルより2℃ほど下がります。
また、孔からの通気により、土壌中の酸素含量は高く、二酸化炭素が減り、作物の根の張りが良くなります。
Aさん 夏の栽培にはいいですね。
B博士 夏の栽培やハウス栽培に適するため、サマーマルチと呼ばれ、広く使われています。
夏ダイコンで、赤変症やこぶ症状の発生抑制効果も謳われています。レタスなど全面マルチでも通気を促す作用のため、生育の健全化に効果的のようです。
Aさん 利用に当たって注意することはありますか。
B博士 通気孔は小さいですが、そこから雑草が発生することが時々あります。雑草が大きくなって除草すると、通気孔からフイルムが破れるますので、草を見たら早めに取り除いて下さい。孔がたくさん開いているので、マルチを踏み付けると破れやすいことも頭に入れておいて下さい。
 なお、マルチ外からの雨水や潅漑水は一部は通気孔を通り、地中に浸透します。
Aさん 長野県ではJAなどが使用を勧めていると聞いていますが。
B博士 面積は微々たる物ですが、レタス、ハクサイや加工トマト、スイートコーンなどに利用されていると聞いています。多くの県で試験検討はされています。
Aさん フイルムの種類や価格はどうなんですか。
B博士 半透明の乳白色と黒色が主体ですが、白黒タイプもあります。銀色タイプはないようです。
 価格は現状では、一般のポリマルチの二〜三倍と高価です。

(2)長繊維不織布
Aさん ペパロンという通気性があり、地温の抑制力の高いマルチ資材がありましたが、最近は市販されていませんね。
B博士 特許や商業上の関連などから、生産が外国メーカーになったこと、価格が高いこと、また、地温抑制の面からミカクールが開発されたことなどから、ペパロンの市販は中止しています。しかし、タイベックの商品名でミカンのマルチ栽培などに利用されています。糖度向上に役立つと言われています。
Aさん ペパロンの良さを経験された方は、ミカクールや白黒サマーを上手に使うということになりますね。

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