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千葉県に吹く風
 
 次頁の写真は飯岡町の高台にある風力発電タワーで、5基ある。タワーの高さは61m、羽根は一基に3本、一枚の羽根の長さは約25mであり、風による回転によって発電している。一基当りの年間発電量は150万Kwhrで、一般家庭の約400戸分の需要を満たすとの事である。銚子には年間発電量330万Kwhrという大きな風力発電タワーが一基設置されている。
 風力発電は環境に優しいということで人気はあるが、年間を通し風がないと機能を発揮できない。ということは、この地域が風の強いことを示している。海に接している千葉県は風が強いが、太平洋沿岸特に海匝地域は日本有数の強風地域である。
 銚子気象台はやや高台にあるため風が強く、日最大風速10m/s以上の年間日数約75日である。赤木おろしの前橋と凧で有名な浜松の10m/s以上の年間日数はそれぞれ13日、12日である。
 農業生産のためには適度の風が必要であるが、千葉県では暴風など風の被害が多い。そこで被害をもたらしている風について若干記す。

春の嵐
 日最大風速10m/s以上の年間日数を上記したが、その最も多い月は,関東では三、四月である。この時期の風は春一番で知られる西からの温帯低気圧がもたらすものである。一般的に関心は薄いが、10m/sどころか30m/s以上の突風をもたらることが時々ある。
 平成六年の春一番の最大瞬間風速は銚子で37.8m/s、平成七年四月二十三日の春一番は千葉市で37.5m/sであった。これらの強風は突風であり、気象台の予報も少ないため、被害が大きい。平成七年の春の嵐ではフィルム剥がれなどの被害が随所に見られた。
 春の嵐にも十分な関心をもちたい。

夏のやませ
 オホーツク海高気圧と冷たい新潮から気流となって三陸沿岸に吹き寄せる低温の風が「やませ」である。発生時期は六月から八月初めまで、東北地方の太平洋岸の農業産地に悪影響を与える。
 この「やませ」が鹿島灘を通って千葉県の北部に流れ込みことが時々ある。その時期は七月中旬である。サツマイモの塊根形成や早期栽培稲に被害をもたらすことが心配されてきたが、野菜や花き栽培に悪影響を与えていないか、注意する必要がある。

秋の台風
 台風とその被害ついては特別説明することも無いが、昨年十月一日に襲来した台風21号の最大瞬間風速は銚子気象台の観測値で52.2m/sで大きな被害を受けた。銚子気象台で観測された最大瞬間風速の最大値は、長い間、昭和四十六年九月八日台風の49m/sであったが、平成八年九月二十二日の台風17号が51.9m/sを記録し、昨年の台風21号はそれを上回る記録であった。  最近、千葉県に襲来し、大きな被害を与えた台風を上げると、平成七年の台風12号(銚子気象台における最大瞬間風速46.9m/s)、平成八年の台風17号(51.9m/s)、平成十年の台風5号(45.7m/s)、平成十四年の台風21号(52.2m/s)である。
 千葉県は本州の東端に位置することから、台風の襲来が多く、上記した台風から単純計算すると、二〜三年に一回は台風襲来があると考えても良い。
 台風の風は時計回りと逆に渦を巻いて吹き付ける、そのため台風の中心(目)の東側は台風の進む方向と風の方向とが一致して加速され強風になる。反対に台風の目の西側では風は弱まる。昨年の台風21号でも目の東側の海匝、山武では甚大の被害を受けたが、目の西側の野田、我孫子方面では被害の話しは起きていない。
 なお、台風害に伴うものとしての潮風害も油断ならない。

冬の季節風からっ風
 冬の風は関東北部山地から吹きおろすからっ風で、千葉県まで達する。吹く時間は昼間で、夜になると衰えるのが一般である。からっ風の風速は10m/sを超えることは殆どない。しかし乾燥しおり、冬季であるのでハウスなどでは密閉して、中の温度・湿度への影響を避けなければならない。
 からっ風の影響の中心は風食である。千葉県に広がる関東ロームと呼ばれる火山灰土は表面が乾くと、5〜6m/sを超える風により表土が吹き飛ばされ、10m/s以上の風では黄塵万丈の状態になる。
 これら土の塵は露地作物の品質・収量に影響するばかりか、ハウスなども汚す。かつては麦栽培が風食防止対策として有効であったが、最近は麦作も殆どなく、畑を緑取る茶などの暴風垣も減ってしまった。雪や雨により、ハウスの土塵の汚れはかなり取れるが、一年ごとに汚れは蓄積されるので、スーパーソーラーフィルムも三年おきぐらいに洗い、きれいにしたい。

 
八街市滝台
江口 幸男さんが始めた 小松菜と大和芋の契約生産
印旛農業改良普及センター
堀江博文
四年まえに訪れた経営の転機
 バブルの最盛期、八街南部でちょっと勢いのある農家は6ha、7haと近在の農地を借りまくった。葉しょうがが高かった。さきに出る人は大型機械を揃えた。
 十六年間、ある家電製品を扱う会社に勤めていたがやめた。平成六年にスーパーソーラーハウスを建てて、葉しょうがを作った。とたんに価格安の時代がきた。
 露地野菜が軒並み安くなって赤字経営となる。「やばい」、と思った。四年程前、ある生産者団体の集まりで、健康食品販売会社「KKたちばな」の社長を紹介された。社長の情熱に感じるものがあり、小松菜を卸す契約生産をスタートした。葉しょうがをやめて小松菜づくりを始めた最初である。

小松菜と大和芋の生産
 現在、奥さんと二人三脚の経営である。4haの畑では、小松菜、大和芋のほかに、人参、じゃがいも、落花生、ブロッコリーを栽培。スーパーソーラーを展張14棟3500m2のパイプハウスでは小松菜を栽培する。
 小松菜は月150万円を目標にしている。60%を「KKたちばな」に30%を八街産直会に、10%をファーマーズマーケットに出荷している。
 週五日制の出荷計画で、午前中に大株42cmの小松菜を300kg調整しコンテナに横詰めにして、搬送トラックで東金市滝地区にある加工所に送る。
 午後からは子束の小松菜をF&G包装で500袋、200〜250gを根切りで調整する。これは自分で産直会集荷センターとファーマーズの店舗に似出荷する。
 大和芋は三年前に友人から上尾の業者を紹介されたのが始まりである。その業者が群馬のおじま長系の種芋を持ってきて契約で作るようになった。
 70aの畑で栽培された大和芋は十月に入ると収穫されて、小出しで定量を年間納めている。デブ系より肉質の柔らかいところが求められている。
 小松菜も大和芋も、納得の契約で生産と販売ができるようになった。

土づくりが野菜を作り続ける決め手
 四年間の小松菜連作で地力の落ちてきたのが目に見えて分かった。苦土入り肥料や珪酸加里を毎作入れるようにしている。最近は豚ぷんにミネラル分と有効菌を加えた発酵菌堆肥を努めて使うようにしている。
 葉に厚みが出てきて芋の粘りよくなる実感を得ている。

経営をさらに磐石に
 節目、節目で人との出会いがあった。経営に生かしていきたい。
 ゆとりを持った生産と販売活動を展開していくためには、雇用を積極的に活用したい。
 栽培技術の細やかな改善を更に進めて、品質重視で、「江口の小松菜、江口の大和芋」を納得の生産で提供していくことを考えている。

 
 
本号が出る頃は桜の季節、お花見で歌ったり、一杯やっていることかと思います。その際の、話の種とも思い、桜について若干記します。
  • 「サイタ サイタ サクラガサイタ」は昭和八年から十五年までの国語教科書、当時は読本と呼ばれたが、一年生が習う読本の最初の文である。現在70歳代の方のほとんどは次頁以降は忘れても「サイタ サイタ・・・・」は覚えている。
  •  花が咲くと言えば桜の花を示すように、桜は日本人の心の花、国の花となっている。
     野生の桜は外国にもあり、特にネパール、ミャンマーから中国雲南省にわたり、高地にかなり見られるが、日本ほどには関心をもたれていない。欧米でチェリーと呼ぶ桜はサクランボが主体で、対象は花でなく実である。
  •  桜には、ヤマザクラ、オオヤマザクラ、オオシマザクラ、マメザクラ、エドヒガンなど幾つかの野生種があり、それぞれの変種も多い。花の形・色や葉などの違いがある。お花見が盛んに行われた江戸時代からは品種改良が進み、栽培種が生まれた。
  •  有名な吉野の桜や、京都御所の庭にある「左近の桜、右近の橘」の桜は日本古来のヤマザクラであるが、現在、私たちがお花見する桜の主体は、染井吉野と言われる栽培種である。染井吉野は江戸の染井村(現在の東京都駒込)の植木屋によって作られ、江戸末期から明治の始めにかけて広がった、と言われる。花つきが豊富で美しく、まとめて植えると、花の雲の風景をかもしだす。
    この桜は生育が早いが、樹齢が人間の寿命と同じ程度で、樹木としては長くない。
  •  野生種とくにエドヒガンの寿命は長く、なかには樹齢1000年以上と言われているものがあり、淡墨桜、神代桜,蒲桜などは有名な古い巨木である。この種類には枝が枝垂れるものがあり、イトザクラ別名シダレザクラと言われ、各地に名木がある。
  •  日本で最も早く咲く桜は、沖縄県のカンヒザクラ(寒緋桜)で一月下旬には花盛りとなる。花は濃い緋紅色である。本州で最も早いのは南伊豆の下加茂温泉にある通称「河津桜」と言われ、一月下旬から咲き始め、三月上旬まで楽しめる。冬と春の二回開花を楽しめるフユザクラも各地にあるが,群馬県鬼石町の「三波川(サンバガワ)の冬桜」は十二月から楽しめ、国の天然記念物に指定されている。
  •  桜の語源は木花咲耶姫命(コノハナサクヤヒメノミコト)「富士山の周辺に多い浅間(センゲン)神社の祭神」に由来するなど、いろいろの説があるが、サクラをサ・クラに分解して理解する説がなじめる。サクラのサはサツキ(五月)のサ、サナエ(早苗)のサ、サオトメ(早乙女)のサ、と同じで稲田の神霊を指し、クラはタカミクラ(高御座)と同じ、古語で神霊が依り鎮まる座を意味したクラを指すと。つまりサクラは古代日本人にとって、もともとは農業における神霊の依る花とされていたのではとの説である。
  •  お花見は庶民の楽しみであるが、皇室でも観桜会と称して毎年、宮中行事として各国の外交官などを集めて行われてきた。現在は宮廷行事に代わって、総理大臣主催の観桜会(桜を見る会)が新宿御苑で行われている。竹下登総理大臣から「新宿御苑の八重桜は今月中旬頃が見頃となりますのでご夫婦おそろいにて御来観下さい」との招待状をもらい、夫婦で参加したこともある。各国の外交官や政・官界、全国から約三千組の夫婦など,併せて約数千人のお花見であった。
  •  お花見の名残である桜餅は、銚子から江戸に出た山本新六が桜の落ち葉を集めて塩漬けにし小豆のこしあんを小麦粉の白焼きでくるんだ餅を葉で包み、桜餅として売り出したのが始まり。いまの桜餅を包んでいるのはオオシマザクラの葉の塩漬け。オオシマザクラは名の通り伊豆諸島の野生種、房総半島にも若干野生しているようである。桜餅は桜の葉もろとも食べるのか、葉は桜の気持ち・香りを味合うものか、どちらであろか。

 
飯岡町三川
宮内 利夫さんの トルコギキョウ経営
海匝農業普及センター
松若真由美
宮内さんの経営
 宮内さんは、トルコギキョウ、キンギョソウを中心に、鉄骨ハウス1200坪担当のパイプハウス300坪の計1500坪の経営をしています。平成3年に、それまで十一年やってきた施設トマトから現在の施設切り花に経営転換しました。
 労力は、本人ご夫婦、長男利朗さんの家族三人とパートさんが一人です。
 栽培品目は、春出荷のトルコギキョウ900坪、夏出荷のトルコギキョウ450坪、キンギョソウ450坪、アスター400坪となっています。

栽培の特徴
 宮内さんはすべての品目を種子からの自家育苗で行い、安定した生産・低コストを実現しています。主力作型は平成六年に冷蔵育苗技術を導入して可能になったトルコギキョウの春だしです。主な品種は、早期出荷をねらったサカタのあやシリーズ、みかどのミラ・スピカシリーズ、八重のキングオブスノーとダブルアップです。主力市場である世田谷花きの品種傾向により複色から単色系の割合が増えています。
 播種は育苗箱に七月二十日〜八月二十日で三回に分けて行います。外部遮光した鉄骨ハウスの一部にプールをつくり、底面給水で1〜1.5ヶ月育苗管理します。その後1ヶ月間11℃設定の蛍光灯のついた冷蔵庫に入れ、ロゼット打破処理をします。九月下旬〜十月いっぱいに定植し、翌年二月中旬からの出荷になります。窒素分の少ない育苗用土を使い、冷蔵庫から出庫・かん水するたびに微量要素を与えることで、苗の製品率も上がったとのことです。栽培密度は、10cm8目のフラワーネットを用い、通路66cmで、二〜三月出荷分は110本/坪、産地間競争が激しくなる四月以降の出荷分は100本/坪でボリュウムをつけるようにしています。
 土づくりは、もみがら70袋・稲わら70束を10aにまいて、深耕ロータリーをかけ、湛水、被覆をして、一ヶ月間太陽熱消毒をしています。元肥は窒素成分で8kg/10aです。
 栽培上のポイントは、厳冬期に発生するピシュウム根腐病と収穫期にでる灰色カビ病を如何に防ぐかです。定植初期に地下の根張り優先の管理を行い、低温等のストレスに強い株にすることがポイントとのことです。またトルコギキョウは出荷調整に労力がかかるため、春の早い時期から収穫が順次始まるように栽培管理し、作型をきちんと分散させるよう心掛けているそうです。

 現在の施設被覆資材は、スーパーソーラーが450坪です。三年まえは全てスーパーソーラーだったものを、徐々に他のPO系フイルムに張り替えているそうです。理由は、流滴処理が必要で、張替え時ハウス内に作物がある状態で流滴剤処理を行って薬害を起こしたことが原因とのこと。
 被覆資材は台風対策として五年で張り替えてきています。六年目も使えますが,今まで大型台風で六年目以降のフイルムが被害を受けた経験からです。

おわりに
 宮内さんは、世田谷花きを中心に出荷していますが、定期的に市場に行って、卸会社や買参人の方々といろいろ情報交換することが、品種や出荷時期を決める上で大切と言われます。息子さんもキキョウ咲き系の新しい品種に取り組むなど、今後も、買う人に喜ばれる花作りでの活躍が期待されます。

当社の全てのフィルムは、農作物栽培現場におけるフィルム劣化促進作用を軽減するために、特許第2138850号に基づいた特殊配合を施してあります。 Copyright Mikado Chemical M.F.G Co. All Rights Reserved.
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