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新しい野菜・珍しい野菜(1)
アブラナ根菜類
元野菜試験場育種部
芦澤正和
 日本で栽培され、市場に出荷されている野菜の種類は約 30科、約 140種類である。
このうち日本原産、或いは日本も原産地のひとつである野菜は 20種類程度で、その他は時期の早晩はあれ、外国から渡来したか、導入されたものである。中には日本原産ではないが、ダイコン、カブ、マクワウリのように日本における農業の歴史とともに存在したと推定されるものがある。一方ではトマト、タマネギ、キャベツのように幕末、明治初期頃導入されたものもあり、ピーマン、ブロッコリーなどは普通の野菜の仲間入りをしてから 30〜 40年ぐらいしか経っていない。
 しかし、歴史の古い野菜でも品種という観点からすると、最近になって知られたものも少なくない。アブラナ科野菜の中から、そんなものを拾って紹介する。

1 ダイコン
 アブラナ科ダイコン属の野菜で、世界中に分布している。日本では野菜の王様で、日本で特異な発展をした品種も多く、ダイコンなくしては日本の食文化は語れない。現在大まかには、ヨーロッパダイコン、中国ダイコン、日本ダイコンに三大別される。
 ハツカ(廿日)ダイコンはダイコンの中の極早生で、最も小さい。ラディシュと呼ぶが、市場ではなまってラレシと言われる。丸・半長・長形のものがあり、色は白・赤・そのツートンカラー(上赤・下白)が一般的であるが、紫・桃・黄などもある。
 クロ(黒)ダイコンはウインターラディシュの一品種である。真っ白いダイコンしか知らない日本人が見るとびっくりするような色である。ヨーロッパダイコンの中では極晩生で大きい。形は長いものと丸いものがあり、外皮は黒いが肉部は真っ白で緻密である。貯蔵性が高く、凍らさなければ、室内で晩秋に収穫したものが、初春までもつ。貯蔵中に甘みが増す。
 中国ダイコンは日本のダイコン品種の成立に深く関わっているが、そのままで栽培されているものは少なかった。日中国交回復の前後に中国野菜ブームがあり、そのとき多種類の中国ダイコンの品種が再導入され、便宜的に形と色により、白長・白丸・赤長・赤丸・青長・紅芯などに区分された。
 ここに示した赤・青のダイコンはいずれも華北型の品種で、肉質がしまり、多くのもは僅かに澱粉を含み、甘味に富む。青長ダイコンは長野県にそのままの形で馴化し、シナ青ダイコンの名で栽培されている。紅芯ダイコンの品種の一つ心裡美は戦前に導入されたものが青皮紅心ダイコンの名でカタログに見られた。戦後再導入されたが、それから幾つかの型が育成されている。丸型で外皮は上部が緑、下部が白、果肉は紅色で美しい。甘味に富み、貯蔵性も高い。中国では水ロボ(ダイコンのこと)と呼ばれ、子供が果物代わりに食べているという。
 日本のダイコンの葉は切れ込みがあり(切葉)、その形・大きさ・数は品種の特徴である。
中国ダイコンの葉は、切葉のみでなく、切れ込みのない全縁葉(板葉)の品種も多い。

 
印西市結縁寺
戸村慎一さん「二つの戦略」 高糖度トマトと省力栽培トマト
印西農林振興センター
北原 久美子
 戸村真一さんと奥様は、新しい試みを恐れず、大胆に取り組むカップルです。
 「水平放任栽培で高糖度トマトを周年栽培したい。」と、突然の取り組みを告げる戸村さん。水平放任栽培とは、養液栽培でトマトの側枝を取らずに放任することで、ほぼ周年にわたり糖度の高いトマトができる栽培方法です。しかし、私は当初、この価格の張る装置導入に難色を示しました。なぜなら、高糖度にはできるものの、それに見合った販売価格を維持できる事例がほどんどなかったためです。
 しかし戸村さんには、既に二つのスーパーとの契約実績がありました。さらに「今後は美味しいトマトを作る農家が残るのだ」との確信もありました。そして、結婚して初めて農業をするという奥さんは、「このシステムで女性一人で 400坪栽培している事例もある。何も新しいことを始めなければ、何も変わらない。」と。そしてご両親、特にお父様の、「若い頃は私も溶液栽培に関心があったので、息子がそれを指向してくれて嬉しい」との応援に、私は考えを新たにさせられました。
 その後、水平放任栽培に一生懸命な戸村さんに、「溶液土耕栽培というものも導入してみない?、土の上に溶液を自動点滴灌水するので、費用もさほどかからず、省力も出来るよ」と誘ってみました。すると即 yesの返事。ベテラン 40年選手の農家なら、検討に 2年間はかかることであり、また地域で誰も導入していなかったので、あまりの戸村さんの判断のよさと思い切りの良さに、またびっくりしてしまいました。

 驚いてばかりはいられず、早速、溶液土耕栽培を導入している農家や試験場へ見学を実施し、溶液のレシピ(どのくらいの濃さの液をいつどのくらい与えるか)を作り始めました。また水平放任栽培技術は、戸村さんがインターネットを通じ、独力で習得されました。工賃節約にと、ご自分で配管工事もし、真っ黒になった戸村さんの目が、希望でキラキラと輝いていたのが印象的でした。

 やがて一年半過ぎた後、戸村さんは、二つの戦略を可能にしました。一つは、初期投資は高くても、高糖度トマトを高単価で販売する戦略です。そして二つ目は、労力をさほどかけなくとも、そこそこの値段でトマトを一定量安定販売する戦略です。

 水平放任栽培は、当初反収 7トンどりの計画でしたが、計画を上回る収量となりました。
 太田市場でキロ約 600円の単価をマークする傍ら、インターネット販売で 1000円の単価も実現しています。
 また溶液土耕栽培は、「ともかく省力になったし、病気も減った」とのことで、反収 6トンをキロ平均 222円で販売できました。

 大きな変化を恐れずにチャンスととらえ、二つのことを同時にやりとげたばかりの戸村さん、でもこれで安心している訳ではありません。今後は溶液土光栽培の面積をもっと増やすこと、三月の高単価の時期に高糖度トマトの収量をあげること、トマトの低温育苗や鎮圧栽培の特質を理解し、可能性を広めることと、戸村さんの挑戦は無限に続きます。

 
干潟町入野
加藤正嘉さん 「若さとパワーの鉢花園芸」
香取農業改良普及センター
小堀富義
就農への道しるべ
 加藤さんのハウスのある場所は、江戸時代は「椿の海」と呼ばれた海でしたが、現在は干潟八万石と呼ばれる県内有数の早場米で有名な水田地帯です。また、この地帯は温暖な気候を利用して、昭和 30年代前半から施設での果菜類の生産も盛んです。そのような恵まれた環境の中で、農家の長男として生まれた加藤さんの家業は水稲と施設マスクメロン栽培でした。
 そして、いよいよ自分の職業について考える時期にさしかかりましたが、ふとしたきっかけで県農業大学校に進学することになりました。きっと、農業に対する想いが芽生えたのでしょう。在学中は、施設野菜を専攻し、マスクメロン栽培を研究、野菜に対する興味は本格的になってきました。大学校を卒業後は「作るばかりでは、これからの野菜は売れない」と東京築地市場で二年間研修し、市場研修を通じ、高級メロンに感化されました。
 そして大学校時代に培った技術で作った自分のメロンと全国のトップレベルの生産者が作るメロンのギャップに不安を感じ、静岡のメロン農家で研修後の平成五年に 23歳で就農、マスクメロン、キュウリを五年間ほど栽培しました。

施設野菜から鉢花生産へ
 平成九年に花に魅せられ、難易度の高いシクラメン生産に後継者資金で 300坪挑戦しました。しかし、シクラメンはおよそ一年と栽培期間が長く、予期せぬ事態も多く、安定した生産が難しかったため、翌年には花壇苗も取り入れ、三年後には花壇苗生産に全面転換しました。
 平成十三年には、鉄骨で 700坪を増設し、経営面積も 1200坪ほどになりました。
 その後、契約生産等を取り入れることで、規模拡大から内容の充実へと経営面での意識改革を図っています。
 栽培では、適正な鉢間隔(スペーシング)と培養土の素材の吟味、肥培管理を綿密に行うとともに、販路拡大の足固めとして、栽培履歴等の情報公開を行っています。

スーパーソーラーとの出会い
 ハウスの被覆資材は、同業者の勧めもあり、スーパーソーラーを主に使用しています。
 700坪の鉄骨ハウスには紫外線カットの UVソーラーを展張していますが、ハウス内の湿度が低く、害虫の発生も比較的少ない。また、株は日焼けしないため、花色によっては色鮮やかになり、品質も向上する傾向があり、花壇苗生産では相性が大変に良いように思えるとのこと。現在は、ソフトソーラーについての検討をすすめています。

夫婦二人三脚で
 こうした作物の転換や規模拡大が出来た背景には、理解し支えてくれた奥さんの存在がかかせません。その献身的な性格で、常に夫の脇役として家庭を守り、農業のよき理解者、これからも若さを生かして夫婦二人三脚で頑張ってほしいと願います。
 そんな若い二人を見守り、協力してくれる三人の素敵なパートさん達に、「いつも良くサポートしてくれて助かっています。」と加藤さんは笑顔で応えています。

 
ソフトソーラー利用農家の声
 
春から秋までのハウス解放条件では、ソフトソーラーは梨地化つまりやや曇りがちとなるために、四年まえの最初の売り出し時にはそれほどの関心は見られなかったが、最近の普及は目覚しいものがある。花き栽培をはじめトマト・ナス・コカブなど多くの作物に利用されている。 ソフトソーラーでは作物の生育が良く、しかも揃うこと、また日焼けの心配がないなど特に暑い夏対策には最適と言われているが、良さをもっと詳しく知りたいと思い、船橋と銚子の二戸の利用農家を訪問、その声を聞いてみた。

  • 船橋の岩佐幸一さんは早春から夏にかけて枝豆を栽培、その後にコマツナ・ホウレンソウと枝豆の二期作をしている。ハウスはスーパーソーラーが主体であるが、一昨年一棟にソフトソーラーを張った。
    ソフトソーラーの枝豆はスーパーソーラーに比べ生育の良いことを認めていたが、昨年の八月播きではソフトソーラーの枝豆は最下位の分枝にもスーパーソーラーでは見られないほど莢実がつき、収穫量が大幅に上がり、しかも日焼けがなく、優れた商品として出荷できることを確認され、本年は五年目を迎えるスーパーソーラーも全部ソフトソーラーに張り替える予定とおっしゃる。
    枝豆栽培では株元まで光を入れることが多収のポイント、ソフトソーラーはそれが出来るフイルムとおっしゃる。なおコマツナ・ホウレンソウでは日焼けを生じない利点はあるが収量までの影響は見られなかったとのことである。
  • 銚子の木村弘さんはシクラメン・ポインセチア・春の草花などの鉢物栽培をしている。
    ガラス温室に加えスーパーソーラーが主体であるが、一昨年一棟にソフトソーラーをはった。
     ソフトソーラーのハウスではポインセチアのウインターローズを栽培。ウインターローズは株の成長特に分枝性の劣る欠点がある。ところがソフトソーラーの七月植えのウインターローズは他のハウスに比べ分枝性が良く、生育もがっちりと優り、そのため 4000鉢を入れる計画していたのが 3500鉢しか入らず驚いたとのこと。
     またアジサイも発色が目にはっきり見えるほど良くなったとのこと。
     日焼けの心配はもちろん無く、もう一作みてから、同じような結果であればソフトソーラーに切り替えたいとおっしゃる。
  • ソフトソーラーは耐久性・台風性などの基本性能は勿論、価格もスーパーソーラーと変わらない。また大切なことはフイルムを透過してくれる全日射量もほとんど変わらない。
     ただ入射する光の成分が違う。低温期、ハウス内面が結露しているときは、スーパーソーラーと同じ透明性をもつが、高温期には太陽光を散乱光化(ソフト化)する。スーパーソーラーも農ビに比べると散乱光の割合は多いが、ソフトソーラは散乱光の割合が格段と高い。
     太陽光には直達光と散乱光あり、冬期や夏期でも晴天時には直達光が多い。直達光は作物の葉などにあたると、そこでストップし、影をつくる。一方、散乱光は作物の葉などにはあらゆる方向から入射して影をつくらず、株の根元まで達し、株全体に光が入る。
    したがって光合成などにプラス、作物の生育を良くする。勿論日焼けの心配も起こさない。
     上記した岩佐さん、木村さんの作物の生育が良かったのは、ソフトソーラーの特性である散乱光が多かったからである。特に昨年の八〜九月は暑く、光が強く、つまり直達光が多かったことが、ソフトソーラーの特性発揮につながったと思える。近年は暑い夏が多い。
    その面からもソフトソーラーの使用は理にかなっている。
当社の全てのフィルムは、農作物栽培現場におけるフィルム劣化促進作用を軽減するために、特許第2138850号に基づいた特殊配合を施してあります。 Copyright Mikado Chemical M.F.G Co. All Rights Reserved.
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