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トマトフォーラムに人の波
 
 スーパーソーラー研究会主催の地域研修会が6月30日に開催された。現地のトマト栽培状況の見学中心のフォーラムとして企画された。
 フォーラムの内容は、近年本格化しつつある「消費者の目線に立ったトマト」即ち「何時、誰が、何処で食べてもおいしいトマト」の生産を主要テーマとしたことから関心の高い生産者および関係者が県内の主要産地から100余名ほどの大勢集まってくれた。
 各見学地ではハウス内のトマトの生育状況を見学するとともに栽培検討も行ったほか、その場で生産されたトマト果実の試食を行って、おいしいトマトの食感を確認し合った。
 中には熱心な生産者グループもいてそれぞれの生産者の果実糖度を熱心にチェックしたり、果色、硬さ、食味などについて調査する光景も見受けられた。以下、見学地を追いながら内容について紹介する。

1 西海敏郎氏宅ハウス(山武郡芝山町高田1102番地)
 西海さんはトマト栽培暦20年のベテランで消費者の求めるおいしいトマト生産に賛同され「おいしさを目指すテンアップトマトの極め付け栽培」として紹介された。
 この生産グループは、(株)森田商店(富里市十倉)が進める糖度6度以上のおいしいトマトの生産を目指すグループで独特の栽培マニュアルを駆使した生産を行っている。
 グループは約10〜15名の熱心な生産者で組織されている。品種は「みそら」((株)みかど育種農場)の品質の良さに惚れ込んだ森田修仁社長のお声がかりで平成11年から始まった取組みである。
 作型は1月中旬まき3月中旬定植、収穫は5月から12月までの年1作栽培と、6月中旬まき7月下旬定植、収穫は8月下旬から12月までの2作型を行っている。
 ハウスは間口4.5mおよび間口5.4mの無加温ハウスを使用し、中央部に株間28cmで2条植えを行ない、養水分管理をきちんとコントロールしやすくする工夫をしている。栽培技術の中心は施肥を目標収量に合わせて有機質肥料中心の基肥一発施肥を実施して、糖度、酸含量、ビタミンCおよびカロチノイド含有量を高める努力をしている。
 仕立て方は長期多段どりで省力化を狙った連続摘心栽培を行って良品多収を目指している。生産および販売は(株)森田商店が生産物全量(A級品からD級品まで)を指定コンテナで引き受け手作業で選別、箱詰めして兼松食品(株)、生協、モスフード(株)などに販売しているが、常にトマトの品質が的確に評価できる販売担当者がいる販売先と取引し高品質に見合った適正取引を守った販売を常に心がけている。またD級品以下の規格外品については「みそらトマトジュース」の生産販売も行っており、おいしいトマトの特長を生かした取り組みを進めている。
 生産グループの各自が将来性の大きいトマト生産をめざしており絶えず情報交換を密にする努力を重ねるとともに、研究を重ねている。その一つに栽培設備がある。これまでは、単にハウス内が暖まればよいという考えでハウスを利用していたものから厳しい消費者ニーズに応えられる高品質トマトの生産のためにものを考え始めた。
 無加温ハウスでありながら出荷期を延長しおいしいトマトを、あまり手間をかけないで生産するために、間口5.4mのやや大型のパイプハウスでタンテンソー(東都興業(株)製)を装備する。外張り展張フイルムはUVソフトソーラーを利用し、病害虫防除を的確に行なうとともに散乱光の活用効果を期待している。加えて、9月から空気湿度の低下に伴って裂果や病害の発生が問題となる。このためソフトユーラックの内張りを行うとともにハウス内の環境の改善を図っている。
 尚、最後になりましたが、見学圃場をご提供頂いた西海敏郎氏に多大なご協力を頂き厚く御礼申し上げます。さらに、会場案内等、多くの便宜を図って頂いた叶X田商店の各位にも感謝申し上げます。

2 大木寛会長宅ハウス(野栄町堀川5455番地)
 スーパーソーラー研究会の会長を務めるトマト生産のベテランである。
 「根づくりを生かした安全でおいしいミニトマトおよび大玉トマト生産」を目指している。
 大木会長は施設栽培に高い関心を持ち、トマト、キュウリ、ナス、レタス、インゲン、などのハウス栽培に取り組んでいる。大型加温ハウスおよび無加温パイプハウスを利用し、スーパーソーラーフイルムを利用した手応えを高く評価している一人である。中でも本格的なフルオープンハウスの建設は国内でも初めてのもので県内外からの見学者が訪れている。
 大木さんの目指す生産方向は安全でおいしく、健康に役立つ野菜生産で、現在の消費者ニーズに応えることをモットーとしている。生産物の品質評価には人一倍気を使っており、香り、おいしさ、安全性、などに対する奥さんの目はとても厳しい。その結果、ユーザーや消費者の評価も極めて高く「大木農園のトマトが欲しい」との声が多い。
 今回の参加者の関心の一つはトマト鉢植え栽培でもあった。プラスチックの鉢で育苗したトマト苗をそのまま鉢ごと植えつけるという大木さん開発の独特の方法で栽培している。
 こうした新技術の開発に関しても大木夫妻の技術に対する、とても前向きの姿勢が感じられる。詳細については別掲に細かく解説してもらうが、この鉢植え栽培は作物を支える肝心な根づくりに大きく貢献しているものである。とりわけ、生育調節を必要とするトマトでは極めて高い利用効果が認められているという。
 また、生産されたトマトの食味にも参加者の関心が集まった。提供されたトマトは大玉トマトの「みそら」、中玉トマトの「ラブリー40」、ミニトマトの「ラブリーさくら」などであった。中でも糖度が高く葉カビ病に強い抵抗性を示す人気上昇中のミニトマト「ラブリーさくら」への関心が高かった。「やっぱりおいしい」と口々に高い評価が得られた。
 「ラブリーさくら」は数年前から協和種苗鰍ゥら試作依頼を受けていたトマトで、他品種に比較して際立ったおいしさであったという。参加者の関心も極めて高く提供された試食トマトが早々に売り切れるという人気ぶりであった。

3 伊藤義明初代会長宅ハウス(銚子市小畑町7225番地)
 伊藤元会長はスーパーソーラー研究会の初代会長で研究会を立ち上げた最大の功労者でもある。研究会が熱心な生産者の集まりであり、作物の生産に役立つ資器材を、販売する賛助会員との有機的な連携を図ることを目指した本格的な組織となり発展を続けている。それだけ熱心な生産者会員の一人であり、研究会の活動にたいしてとても厳しい視点を持っている。「役に立たない研究会であってはならない」、「絶えずピカッと光るものを感じさせる研究会である必要がある」など常に手厳しい。
 トマトは品種「マイロック」((株)サカタのタネ)を12月上旬にまき、2月上旬定植で4月から7月まで収穫するものと、7月上旬まき、8月中旬定植、9月上旬から12月まで収穫するトマトを約70アールの広大な面積を経営している篤農家である。
 また、伊藤元会長は銚子市の野菜園芸組合および施設園芸組合の会長として活躍され多くの実績を残された方でもある。
 トマト生産にもこだわっており、「省力、低コストで安全でおいしいトマトの多収栽培」を目指している。栽培技術の中心は連続摘心栽培である。作柄は常に見事な出来栄えですばらしいの一言に尽きる。
 伊藤さんは連続摘心栽培の開発された昭和56年頃から高い関心を示され、現在は独自の栽培体型を確立されている。
 連続摘心栽培はトマトの生育、着果、果実の肥大など栄養生長と生殖生長のバランスがとり易く、良品多収が目指せる技術として評価されている。しかし、誰もが本格的に取り組めない欠点があるが、基本を守るならばとても取り組み易い技術といえる。
 即ち、1条植えを行い、基肥中心の施肥で栽培全期間を通じて過不足のない肥培管理をすることが収穫期以降の着果負担量の多くなってからの生育の安定に重要な技術となる。
 このため根づくりが大切であり、深く、幅広い根圏を長期間に亘って維持することが何よりも重要な基本技術である。したがって、土づくりには念が入っている。
 特製の有機質肥料を基肥に多投するとともに、生物資材を利用して病害虫防除および生育の促進を図っている。こうした栽培基盤を生かして、ハウス空間を立体的に生かした工夫に励み品質および収量の増大を図っている。
 伊藤さんのトマトはとても生き生きしているというのが見学者の評価である。ハウスはUVソーラーを展張して明るく、丈夫でトマトを作り易いと評判が良い。何よりも最高なのは灰色カビ病を初めとする重要な病害虫の発生が他資材に比べて全く違うと高い評価を頂いている。

 
トマトの鉢植え栽培について
会長 大木 寛
 
 トマトフォーラムの折に関心をいただいた鉢植え栽培の概要について説明します。細かい部分については、折を見つけて質問していただきます。
 尚、本技術はトマトのほか、ナス・インゲンなど初期成育を調節する作物に有効であると考えます。

1.苗づくり
 トマト苗を播種後2.0〜3.0期に胚軸を地際部からカミソリで切断します。切り口部分から発根促進剤を吸収させ発根を促した後、培地に挿します。培地は発根を容易にするため十分な水分と25℃内外の地温を確保します。
 5〜7日後には発根がみられますが、これまでは萎れを防ぐため、晴天日は遮光し、曇天日や夜間は萎れない限り遮光資材を除き光線不足を防ぎます。
 発根後は通常管理を行い採光性を重視した管理をします。5葉期以降は節水管理でやや硬めの苗づくりを目指します。

2.植えつけ
 第一花房の見え始めた良く締まったトマト苗を鉢ごと植えつけます。深さは鉢土の乾燥が激しくならない程度を考え、鉢の半分位まで土をかけると同時に固定します。
 植え付け後、鉢土が乾燥しすぎる場合はかん水を重ねて萎れを防ぎます。
その後20〜30日後になると鉢底の穴部分から新根が伸び始めます。その後徐々に生育が強まり安定するとともに旺盛になります。鉢穴は5箇所ありますが強い根は数本発生するのが一般的です。

3.発根後の管理
 鉢底部分から伸びた強い根は土の深層部分まで伸び続けて安定した生育を支えます。しかし時には生育が過繁茂になって弊害となることもあります。
 したがって生育が強まるのを見定めたら、水管理にとくに注意して生育調節することが肝要です。水管理のみでは調節しにくい時は、温度管理と組み合わせて生育調節をします。
 一旦伸びた根はトマトの栽培期間中強力にトマトを支えて良品多収に役立ちます。

4.その他
 トマトの事例を中心に技術内容を説明しましたが、初期の生育調節の必要な作物に有効なものと考えます。作物の安定多収栽培には根づくりがとても大切と思います。なるべく手間をかけないで出来る根づくり技術だと感じております。詳細についてはいつでもご質問をお待ちしております。

5.鉢の利用について
 私の利用している鉢は直径10〜12cmの普通のプラスチック鉢(黒色)です。鉢底部分に直径0.5cm内外の穴が5個のものを利用しています。まだはっきりわかりませんがこれについても検討を加えたいと考えます。その他、発根の生理的なものについても検討中です。

当社の全てのフィルムは、農作物栽培現場におけるフィルム劣化促進作用を軽減するために、特許第2138850号に基づいた特殊配合を施してあります。 Copyright Mikado Chemical M.F.G Co. All Rights Reserved.
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