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産直フォーラム開催される
 
 平成十八年五月十日、最近話題を集めている農産物(野菜、花き、米、農産加工品等)の直売所の現状と今後の展望を学ぶ目的で、会員(生産者)、賛助会員、および県内の試験研究機関、農林振興センターの先生方など45名の参加のもとで、産直フォーラムが開催された。
 フォーラムは、道の駅やちよ、農事組合法人「クラフト」理事長、吉岡一男氏による講演「産直農業の実態と今後の方向」、これに関連した質疑応答および、道の駅「クラフト」の実情況を視察した。注)講演は八千代市農業研修センター(八千代市大和田新田)にて行い、終了後、道の駅やちよ(八千代市米本)へ移動した。
 フォーラム開催に当たっては農事法人組合「クラフト」理事長 吉岡一男氏の甚大なるご協力があり感謝申し上げます。

フォーラム開催に当たって、大木会長の挨拶
 田植えも終わり初夏に向かって春真っ盛りであるが、今年はどうも天候が不順で農作物に対する影響が心配な点もあるが、今年の最初の研究会である「産直農業」の様子を勉強したいと思います。今後「産直農業」は有望であり、良い面も多くあると思うので、この機会に良い経験をしたいとおもいます。消費者ニーズ、生産品の品質、収益、等についてもこの機会に学びたいと思っていますので、吉岡様宜しくお願いいたします。

講師紹介(司会者、みかど化工(株)青木常任顧問)
 道の駅やちよ農事組合法人「クラフト」の理事長である吉岡様は八千代市内でトマトのハウス栽培を経営しているこの地域のリーダーです。吉岡理事長を中心に立ち上げられた道の駅やちよの内容をご説明頂きたく思います。今年の7月で丸9年経過するが、売り上げ目標10億円はすでに突破していると聞いております。現在活気ある農業を展開しております。

 
講演
 
演題 産直農業の実態と今後の方向
農事組合法人「クラフト」理事長
吉岡一男氏
1、 道の駅やちよの成り立ち
 八千代市では農業の抱える課題とその対策を講ずることにより、自然・農業、農村再発見とそれを求める市民の要望に応え、今日的な新しい都市農業の創造をめざし、平成5年3月に、「やちよふれあいの農業の郷」構想を策定した。つどいゾーン(八千代ふるさとステーション)から始めた。

<テーマ> 農業生産者と都市住民の交流の場
☆ 八千代わいわい農業市
農産物の直売、味の体験、加工体験教室
☆ 八千代市農畜産物流センター
地域内流通のための情報センター
☆ いきいきワーキングバンク
農業パートの登録、凱旋センター
八千代ふるさとステーションの構想の実行を農協からやらないかと言うことで農事組合法人「クラフト」を立ち上げた。

2、 八千代ふるさとステーション事業概要
(1) 事業主体 八千代市経済環境部農政課
(2) 事業費 約14億円(平成5年〜9年)
(3) 主な経過 平成5年3月やちよふれあいの農業の郷構想策定
平成7年工事着工
平成8年4月道の駅登録
平成9年7月八千代ふるさとステーションをオープン
(4) 開館状況  
毎月第2月曜日及び年末年始(12/28〜1/4)休館
農産物コーナー 9.00〜18.00(4〜9月は18.00)
アイスコーナー 10.00〜17.00(夏期は18.00まで)
レストランコーナー 9.00〜19.00
施設 9.00〜19.00(駐車場・トイレは24時間)

3、 建設地等
(1) 位置 千葉県八千代市米本4905-1
(2) 面積 約1.6ha(敷地面積 1506m2、 道路面積 1010m2
駐車場 110台(大型10台、普通98台、身障者2台)

4、 組織概要
4-1
八千代ふるさとステーションの中には(1)農産物コーナー:農事組合法人「クラフト」(2)アイスコーナー:農事組合法人「アイス工房八千代」(3)レストランコーナー:(株)トミーサプライの三つの法人がテナントとして入っている。三部門とも八千代市の使用許可をうけて(1年契約で借用)管理運営をしている。

4-2 八千代市ふるさとステーション「八千代市農政課」
*組織人員(17年4月現在)
館長(市職員) 1名・主査(市職員) 2名・主査補(市職員)1名、再任用職員1名・臨時職員 4名
合計 9名で運営。
*業務概要
ふるさとステーションの管理運営
広報宣伝、イベント及び誘客活動の実施
道の駅に関する業務

5、 農産物コーナー 「農事組合法人クラフト」
(1) 設立 平成9年6月11日
(2) 資本金 500万円(1口50万円)
(3) 組織人員 理事10名・農家会員90名・業者11社・パート24名(店長含む)
(4) 設立目的 八千代ふるさとステーション・農産物、特産物部門の利用申し込みに当り経営確立を図る為、任意組合では無く法人組織として設立された。 (農業用共同利用施設の設置、生産、加工、販売、農業経営)
(5) 業務概要 八千代市内産の農産物・特産物並びにそれら加工食品等の販売
(6) 経営組織 農事組合法人「クラフト」(理事個人9名・法人1名)
代表理事1名、副代表理事1名
理事5、(仕入れ販売担当)、 (電算担当)、 (会計担当)、 (総務担当)、 (渉外担当)、 (品質管理担当)、 (花き担当)
監事2名
(7) 会員内容 *正会員:農業生産している個人、生産組織している者。 会員数:86名
年会費:市内農業者 2万円、市外農業者 3〜5万円
販売手数料:売上げの15%(市内・市外農業者ともに)
*準会員:農業生産している個人、生産組織、販売している者。会員数:14名、11社
年会費:市内農業者 無料、市外農業者 2〜3万円
販売手数料:売上げの20%(市内・市外農業者ともに)
(8) 経営の特徴 商品のバーコードに生産者が誰なのか分かる様に名前を記入し、実際の会員の顔写真を店内にて提示。
値段設定についても生産者が決められますが、品質管理委員会・価格管理委員会にて、値段の上限は決まっている。

吉岡理事長
(1) 栽培 消費者の要求、動向などに注目、研究し生産。(新品種、生産地、健康ブーム等)
(2) 出荷前日 翌日の出荷予定品目、量等を掲示板に記入。
(3) 収穫、荷造り 直売の原則に沿った出荷。(新鮮、安全かつ安心、安価、美味しい)
その日の出荷量を決める。(売れ残りは夕方持ち帰り)
買い求め易い荷姿にする。(袋詰、結束等)
価格を決める:情報版掲載事項を参考。
規格コンテナによる出荷。
(4) 当日出荷 バーコードラベルを作成し貼り付ける。
搬入、陳列(8時30分〜9時30分)、オープンは9時30分
(5) 展示、販売 クレームはすべて出荷者にて処理する。(報告義務有り)
正会員は出店当番有り。(売れ行き状況等を把握し経営に反映して貰う)
注)クレーム処理を受けた場合(品質管理委員会処分)
  商品クレーム処理報告→指導書→警告書→出荷制限書→出荷停止書→除名。
(6) 精算 パソコンによる各個人、各団体毎の清算。(ポスシステム)
10日毎にまとめて各口座に振り込む。(団体は1ヶ月毎)

 
討論会
 
司会 みかど化工(株)青木常任顧問
話題提供者 大木会長、大木会長夫人(トマト直売)、渡辺理事(三芳村道の駅)、
原弘和氏(トマト、の直送・直売生産者)
司会
産直の商品に求められている消費者ニーズをどう感じられているのか?

 大木夫人
 何年か前は安全性が主であったが、最近は「味」「おいしさ」を重視する様になってきた。直接畑に来てトマトの味を確認して契約する場合が多くなった。従って、大勢の人達(消費者)が価値を認めてくれるものを作る。現在は買い手が大勢いるので、当方で買人を選ぶ様な感じである。

 渡辺理事
 35歳から農業を始めた。消費者の目は八百屋→スーパー→直売所→個人の農家、と移ってきている。各生産者はインターネット、携帯電話、英語等を駆使できる環境を整える必要がある。10年先を見据えた農業行動を考えないとダメと考える。
海外に目を向けながら自分はどうするかを考える。とことん良いものを作り、お客に販売するのか、経営の数字だけを考えるのかを見極める必要がある。自分の場合は花き栽培を行っているが、徹底的に良いものを作ることを心がけている。
現在、JAICAの下部組織に調査依頼し、世界に目を向けてすばらしい農業経営をしたいと考えている。

 原弘和氏(ハウストマト栽培)
 販売方法はトマトを大手スーパー、モスフードサービス,及び個人への直接販売をしている。
「おいしさ」を第一条件と考えているが、販売先のモスフードサービスはLサイズしか買ってもらえない。残ったMサイズ、Sサイズをどうするか、苦労している。現在、残った他のサイズはアズマ総合青果に販売している。
誰も出来ない様なおいしいトマトを作っても、他のトマトの値が下がると自分のトマトも下がる傾向にあり、価格維持がむずかしい。スーパーとの契約も自分の思い通りには行かない。
他方、「楽天」を利用して、インターネット販売を実施中。
自分で最良と思うトマトを作ってもお金に結びつけるのは困難な状況もある。自分で自信をもって売れる品質のものを作るのが第一条件と思う。他方、最初良いということで契約しても、長続きしない状況もある。

 みかど化工(株)峯岸社長
 消費者が産直から購入する意味として、農産物が「安全である」、「新鮮でおいしい」と言う要素が大きいのではないか。

 吉岡理事長
 道の駅に来る客層を見ると、50〜60歳台の夫婦づれが多い。「新鮮でおいしい」という事が野菜全般に共通する要素である。

 青木常任顧問
 おいしいものを作るには栽培技術が重要となる。現状を見据え将来性のあるリーダーが必要となる。
品質については生産者個々の栽培技術の差が大きい。研修、講習が必要ではないか?
トマトの場合、現在大玉(L)が少なく、S、Mが多いのではないか? 水をしぼり、高糖度トマトを作る人が多いのではないか? さらに栄養価を重視した品質のものが消費者に望まれているのではないか?
産直のスタンスとして荷姿、産直らしい商品の荷姿があっても良いのではないか?
例、*ダイコンの葉つき、*タケノコのドロつき、*コマツナのドロつき等

Q、(司会)、地場産以外の商品(農産物)の販売をどう考えているのか?
A、吉岡理事長
旬(シュン)のもので午後から来た人に対して品切れになることがある。これも考慮に入れた全体の品揃えを考える必要があるので、地場産以外のものも取り扱っている。
Q、(日暮繁氏)、リピーターが多いと聞くが、お客様に還元することがあるのかどうか?
A、吉岡理事長
この分、値段で消費者に貢献することを考えている。

 吉岡理事長
 現在、「道の駅」の全国組織を作る段階にさしかかっている。
千葉県内に19ヶ所、全国で785ヶ所存在する。

 司会(青木常任顧問)、産直の方向
 消費者が求める品質の農産物の販売、および新しい流通形態により国内の農産物の消費量が高まるのではないか。
 消費者が求める品質としては安全性、食味(食感)に加え更に、「栄養価」も問題になるだろう。
 新しい生産の方向、消費の方向、販売の方向等これまでとは違った視点で考える必要があると思う。

道の駅やちよ、農事組合法人「クラフト」視察
 講演および検討会終了後、各自それぞれの車で「道の駅」に向かった。
写真に示すように各種農産物がきれいに整理され陳列されていた。各野菜とも梱包毎に生産者の名前と価格が表示されており、スーパーよりも鮮度が良好で且つ安価であると感じた。
陳列野菜、トマト、キュウリ、ナス、ダイコン、ネギ、ホウレンソウ、小松菜,菜ばな、インゲン、サヤエンドウ、ゴボウ、ニンジン、タマネギ、ジャガイモ、サツマイモ、等多品目がきれいに陳列されていた。別のコーナーには地場産のタケノコもあった。トマトの中には高糖度の表示のものもあり、吉岡理事長に試食させていただいた。ほんとうに甘くておいしいトマトであった。見学者の何人かの人はそのトマトを購入していた。
他方、地場産の米、加工品(おこわ、赤飯、漬物類、自家製コンニャク、自家製お茶類等)なども陳列されていた。
花き類のコーナーには切り花、鉢花が陳列されていたが、切り花が多かった、価格はスーパーやホームセンターに比べて同等かやや安い程度と感じた。
16時30分ごろ自由解散した。(文責、須田)

 
成川 昇先生のイチゴハウスを訪ねて
 
はじめに
 千葉県大網白里町永田の山王神社の近くに真新しいパイプハウス2棟が目に付く。1棟は平成17年5月に建設したイチゴ育苗ハウス(間口5.4m、奥行30m、スーパーソーラー展張)で、隣接する1棟は平成17年7月に完成したイチゴ栽培用ハウス(間口6m、奥行50m、外張り、ソフトソーラー展張、内張り、ユーラック展張)である。この2棟のハウスは成川先生が第二の人生で遠大なる計画の下に建設された、イチゴの品種改良のための研究棟である。
 成川先生(元千葉県農業総合研究センター)は退官前、長年イチゴの品種改良に携わってきており、この間、「麗紅」、「総の香」等の育成に関与され、成果を挙げてきたと聞いております。退官後、品種改良に関する熱意が沸きあがり、平成15年4月より単独で品種改良を進めてきており、今年で4年目に入るとのことです。
注、平成15年4月〜17年春までは東金市相葉イチゴ観光農園の中の1棟を借用して研究を続けておりました。

育種目標
 成川先生の研究目的には次に示す二つの課題があります。
課題―1、 種子から栽培する品種を育成する。これがメインテーマである。
課題―2、 地域(千葉県)に適した促成品種を育成する。
 課題―1のメリットとして、種子繁殖型品種は効率良く無菌苗が出来る。純度を高めて
F−1品種にすることにより,そろった苗が出来、且つウイルスフリー苗となる。この品種は種々メリットがあるが開発完成に至るには相当難しい道のりがあるとのこと。現在の進捗状況としては、登山にたとえればやっと5〜6合目まで到達した状態とのことです。年に一回の試験では完成までに、まだ相当な時間がかかると考えている模様でした。
 課題―2について、この地域は「とちおとめ」が主体で、一部「総の香」が栽培されている。果実の品質(外観、果色、食味)、収量、耐病性等の点で「とちおとめ」より優れており、千葉県のこの地域により適した品種の育成を目指しているとのことです。
注、耐病性については灰色カビ病、うどんこ病を主に考慮。食味については糖度、糖酸比を考慮している。

被覆資材(ソフトソーラー)について
 栽培試験棟は外張りにソフトソーラー(多散乱光フイルム)を使用しておるので、このフイルムに対する感想を聴取した。
品種育成試験であるので種々の品種を栽培しているが、全般的に果実の色づきが良い。畝の裏側の果実の色づきも良好である。通常のフイルムは畝の裏側は日陰になりやすいので表側に比べて色づきが悪くなる。ソフトソーラーでは畝の表側と裏側との差が無い点が被覆資材として利用効果が高いとのことでした。イチゴ栽培にソフトソーラーが適していることが評価された。

これから
 課題―1、2とも研究開発の途上であるが、特に、課題―2については外観(果色、果形)、食味(糖度、糖酸比)、香り、収量、耐病性等について「とちおとめ」、「総の香」を越える、且つ地域に適した品種の育成を心がけて研究を継続して行きたいと情熱を示された成川先生でした。(取材、須田)

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