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資材・機器材フォーラム開催される
 
施設栽培に於いて、資材、機器材を活用して作物にとって快適な生育環境を確保し、消費者ニーズに合った安全・高品質生産を行うことは極めて重要なことと考えられる。
この事を考慮して、平成十八年八月三十日(水)、のさか望洋荘にて、生産者が省力、低コストで安全・高品質生産が可能な施設栽培を実行するには資材・機器材の面でどんな問題があるのか、どんな機能付加が必要か等を把握し、次なる進歩を図る目的で、会員(生産者)、賛助会員(資材「種苗も含む」・機器材メーカー)、試験機関、農林振興センターの先生方など42名の参加のもとで資材・機器材フォーラムが開催された。
フォーラムはみかど化工叶ツ木常任顧問の司会のもとで、伊藤義明氏(銚子市、スーパーソーラー研究会初代会長、トマト、メロン栽培)、大木寛会長(匝瑳市、トマト栽培)、海宝正一副会長(東庄町、カーネーション栽培)、伊藤富男氏(旭市、スーパーソーラー研究会元会長、キュウリ栽培)、西海敏郎氏(芝山町、トマト栽培)の各氏を話題提供者として、各氏の施設栽培の現状と問題点を述べられ、それぞれの課題について種々意見交換がなされた。

 
大木寛会長挨拶
 
残暑厳しい中でありますが、本日は「資材・機器材フォーラム」ということで資材を有効利用することによる効果について、勉強したいと思います。栽培技術はもとより高品質な生産を目指す上では資材・道具等は極めて重要なものです。良い道具を使って仕事が捗るし、楽しい農業に結びつきます。病害虫の発生を抑制することができる対策や、夏場の高温多湿環境下をいかに改善していくかなどが今後の施設農業の課題であると思います。この機会に、これらについて学びたいと思いますので宜しくお願いいたします。
 
施設栽培の現状と問題点
 
1.伊藤義明氏(銚子市、スーパーソーラー研究会初代会長、トマト、メロン栽培)
 銚子市はキャベツ、ダイコンの産地であるが、トマトを主体にメロンのハウス栽培を行っている。消費者の要望として、安全、安心、新鮮、食味(おいしい)などあるが、これらの要望に完全に応えることが出来る品種、資材があるかと言うと、なかなか難しい。
 種苗を例にとれば、病気、品質、収量に対してどうかと言うと全てを満たすものはなかなか見当たらない。
 安全の面で対農薬の問題で木酢とニンニクとの混合液を使用して農薬を半分に減らしている。厳密に言えば肥料に対しても安全性が大丈夫か?と言う問題がある。
 ハウス資材の面で、病気や害虫を防げる資材があるかと言うと、完全なものはまだない。
 外張り資材でUVソーラーが良いということで使用している。灰色カビ病などカビ類(糸状菌)は60%程度抑える事が出来るが、害虫の方は抑える事がややむずかしい。灰色カビ病は酢でも抑えることが出来る。
 外張り資材で、スーパーソーラーとソフトソーラーとを比較すると、トマトの生育状況はソフトソーラーの方が良い状況である。
 トマト栽培にはUVソフトソーラーがよいと言うことで昨年展張した。結果良好だったので、これから徐々にUVソフトソーラーに替えてゆきたいと考えている。資材により病気を極力抑える努力をしている。

Q、交配については如何しているんですか
A、交配はマルハナバチを使用している。UVソフトソーラーの展張下ではマルハナバチを問題なく利用できるが、ミツバチには問題がある。

 害虫についてはオンシツコナジラミが多く飛んでいる。オンシツコナジラミはトマトの樹全体を弱める。コナジラミ、アブラムシについてはUVソーラーが展張4年目であり効果がうすくなっている。

2.大木寛会長(匝瑳市、トマト栽培)
 大木会長は匝瑳市で「根づくりを生かした、安全で美味しいミニトマトおよび大玉トマト」の生産を目指している。根づくりに良い種々の栽培法を研究しているが、中でもプラスチックの鉢で育苗したトマト苗をそのまま鉢ごと定植すると言う大木会長開発のユニークな方法(前号で掲載済み)で栽培している。この方法は結構うまくいっているとのこと。定植後、根に一定のストレスがかかり、力強い幹根の発生があり、根づくりに良い結果をもたらしているとのこと。
 展張フイルムについて:高温強光時は、間口4.5mの単棟パイプハウスでは散光(梨地)ユーラックの展張で効果をあげている。低温弱光時は、間口12mの大型連棟ハウスではUVソーラーを展張している。
 整枝方法としては連続摘心栽培法を実施しており、良品多収の長期間栽培をしている。
 生産物の販売は外食産業および一般消費者に行っている。
 問題点を挙げれば、病害対策として,青枯病など土壌病害対策が重要である。

3.西海敏郎氏(芝山町、トマト栽培)
 山武郡芝山町で消費者の求めるおいしいトマトの生産「おいしさを求めるテンアップトマトの極めつけ栽培」を行っている。
 施設栽培面積は1500坪、内800坪がUVソフトソーラーを展張している。
 作型は12月は種、3月中旬定植、収穫は5月から12月までの無加温長期栽培を行っている。
 UVソフトソーラー展張のハウスでは灰色カビ病、葉カビ病の発生を相当抑えることが出来た。
フイルム資材としてUVソフトソーラーは生育促進効果が大きくトマト栽培に適していると考えられる。
 生産物の販売は大手スーパーが主である。
栽培上の問題点、
 夏期にハウス内温度が高温になるので耐暑対策が重要となる。現在、耐暑対策として細霧システムと循環扇を採用している。11:30〜14:30の間、細霧を出し、循環扇と併用すると細霧システムおよび循環扇なしに比べてハウス内温度が3〜4℃低くなる。夏の高温期においてハウス内温度が2℃程度下がるとトマトの生育に差が出る。
 「細霧システムについて」、森田商店、森田常務の説明
 西海さんの所で採用している細霧システムは冷房と薬散消毒の両方出来る設備になっている。細霧消毒では、使用する農薬が通常の1/3以下になる。その上、自動化されているので、人間の身体に影響なく消毒が可能となり安全作業につながる。
 ハウス内環境調節は、資材の特性、機械設備、制御技術等を良く考えて種々組み合わせて使用することが重要と考える。

4.伊藤富男氏(旭市、スーパーソーラー研究会元会長、キュウリ栽培)
 旭市で長年高品質のキュウリ栽培を主力にトマト栽培も行っている。最近A重油が75¥/と高値になっているので暖房費のことが心配とのこと。
 キュウリの仕立て方としては(1)つるおろし栽培(2)摘心栽培(3)つるおろし栽培と摘心栽培との併用がある。
 つるおろし栽培で高品質をねらうために収量が上がらない。しかし栽培後半までいっても品質低下はない。つるおろし栽培では10日に一度つるおろしを行う。つるおろし作業に要する時間は10a当り約20時間かかり、労働力確保が重要となる。
 摘心栽培では芽が新しく出るまで冬期は生育低下になり樹が弱く、果実の品質が低下する。若い葉を活用することが重要となる。
 問題点としては病気対策が挙げられる。現在、褐斑病対策で困っている。
ハウス内湿度を上げて果実の品質を向上させると褐斑病が出易い条件となる。病気を抑えようとすると農薬散布回数がふえる。農薬散布回数の増加が問題となる。
他に、高温多湿の条件下での土壌病菌による連作障害および低温期に於ける斑点細菌病等の防除対策が重要となる。
 農薬はダコニール、ベンレート、スミブレンド、の3種混合を規定倍率で使用している。
注)海匝地区の仕立て方の状況
(1) つるおろし栽培 50%
(2) 摘心栽培 20%
(3) つるおろし栽培と摘心栽培との併用 30%
栽植密度  1200本/10a

5.海宝正一副会長(東庄町、カーネーション栽培)
 東庄町でカーネーション栽培20年以上のベテランで,平成14年には農林大臣賞の栄誉に輝いたすばらしい技術の持ち主である。
 フイルム資材としてはハウス外張りにスーパーソーラーとUVソーラー、UVソフトソーラーを展張している。資材フイルムを比較するとUVソフトソーラーは側枝の発生および伸長が良かった。他方、花色は若干淡いが問題になるほどのものでなかった。側枝の数は品種間に差はあるが、同一品種ではフイルム間に差は無かった。
 スーパーソーラーは全体的に樹がしまる傾向にあった。外張り資材としては側枝が良く出来るUVソフトソーラーが良いと考えている。
 栽培は6月に定植し、11月中旬から翌年の6月上旬まで収穫する。

 
話題の整理と検討
 
1.防虫対策、病害対策、耐暑対策に対する意見
 山口正巳氏(鴨川市、トマト栽培)
防虫対策として、0.4mm目合いの防虫ネットを使用している。日中、外気温が32℃のときハウス内温度は35〜36℃になるが、栽培作物に対しては問題ない。防虫対策としては0.4mm目合いの防虫ネットがよいと思う。

 高橋哲郎先生(船橋市農業センター)
トマトの黄化葉巻病対策として耐病性品種の開発、および高温対策として各種品種の高温に強い品種の開発が望まれる。

 小林伸三先生(千葉県農総研砂地野菜研究室)
害虫対策としては(1)0.4mm目合いの防虫ネットを使用して害虫の侵入を遮断する。(2)通気性を考慮して1.0mm目合いのネットと紫外線カットフイルムなどの防虫効果のあるフイルム資材とを併用する、方法が考えられる。

 中村靖弘先生(千葉県農総研砂地野菜研究室)
防虫対策、病害対策として農薬を使用する場合、生産物に安全・安心の付加価値をつけるため、および環境保全のために農薬の使い方の技術指導が必要と考える。

 伊藤義明氏(銚子市、トマト、メロン栽培)
(1)夏期のトマト栽培はハウス内温度が高くて暑い。冬は暖かく、夏は涼しくなる様なフイルムを開発して欲しい。(2)トマトのかいよう病に対して強い品種を作って欲しい。かいよう病対策として、微生物資材に期待して「なまの微生物」を使用して種々検討しているが、なかなかむずかしい。(3)農薬を使わなくても良い品種を開発して欲しい。

2.春作から夏作の栽培に於いて高品質で安全な野菜を生産するための資材面の考慮について。
司会(青木常任顧問)
春から夏〜秋にかけての栽培は植物が活動し易い時期であり、収量も上がる時期なのでハウス栽培で作物が栽培し易い環境を作るには資材面を考慮する必要がある。又、生産者の作業環境も良い状況にするには同様に資材面での考慮が大切である。

2-1.トマト栽培における灰色カビ病防除対策としての資材(展張フイルム)について。
 藤代昌彦氏(山武郡芝山町、トマト栽培)
5種類のフイルムを展張したハウスで比較しているが、灰色カビ病防除対策フイルムとしてはUVソーラー(紫外線カットフイルム)が良好であった。

2-2.UVソーラーの害虫飛来防止作用について
伊藤義明氏 展張5年目 あまり効果ない
西海敏郎氏 展張2年目 効果があった
 みかど化工(株) 峯岸社長
5種類のフイルムを展張したハウスで比較しているが、灰色カビ病防除対策フイルムとしてはUVソーラー(紫外線カットフイルム)が良好であった。

 みかど化工(株) 江上常務
紫外線カットの効果はフイルムの展張経過年数により変化し、展張経過年数が長くなるにしたがって効果は低下する傾向にある。

2-3.フイルム資材の面から作物に好適な環境を作るには。
 みかど化工(株) 江上常務
展張フイルムについては、要求されるハウス内環境によって特性の異なるフイルムを種々組み合わせた使い方をすればいろんなことが出来ると考える。例えばハウス天井部を3層にする、(透明フイルムや遮光フイルムのカーテンなど)。このためにはハウス構造を改修する必要がある。

2-4.司会、強光時期の対策の意見が多かった。遮光資材を使っても安定的なハウス内温度を保持出来ない場合がある。遮光資材以外のハウス内温度制御について。
 西海敏郎氏
耐暑対策として細霧システム,循環扇などの新しい技術を導入した。細霧システムについては前述の通り循環扇との併用でハウス内温度を下げるだけでなく農薬消毒にも適用出来る大きな効果が得られている。他方、ハウスにはタンテンソウを設備した。タンテンソウの効果は大きい。

 東都興業(株) 前田博史氏
タンテンソウ、 取り付け簡単、ハウスサイド換気を行うとハウス内に対流が起こり、換気効率が良く、且つ植物にも好影響を与える。
スカイペット、 ハウスのゆがみを吸収して、本格的な天窓換気が実現出来る。新設はもちろん、既存のハウスでも取り付けが簡単である。

 森田商店 森田常務
1棟に複数個のタンテンソウを取り付けた場合、1ケ所で開閉操作出来る様に設備改善してほしい。

3.栽培品種および栽培技術について。
3-1.司会、トマトの品種について、美味で耐病性があり、高温耐暑性品種の開発は出来ないか。
 (株)みかど育種農場 鈴木部長
食味が良くて、耐病性且つ耐暑性品種の育成は現状むずかしい。

3-2.司会、西海さんは「みそら」を栽培しているが、どうですか?
 西海敏郎氏
栽培技術として第一花房を抑える方向でもってゆき、食味の良いものを作るように努力しているところです。高温期には「みそら」は耐暑性、食味ともども良好です。

3-3.司会、トマト栽培では根づくりが重要という話があった。育苗後期、定植初期が大事である。これに対する資材について。
 (株)みかど育種農場 鈴木部長
「バイオシート」という生分解性特殊フイルムを使用した「バイオシート栽培」を開発した。
根圏隔離栽培なので、定植から第3花房の着果初期まで水分量を必要最低限にコントロール出来るので過剰な水分のやり過ぎによる定植後の軟弱化と茎葉の過繁茂を抑制出来る。バイオシートの利用により、その後の幹根の発生に役立つている。
注)、詳細は配布資料、「バイオシート栽培」参照

3-4.司会、根づくりに関しては伊藤義明さんが取り組んでおられるのでご意見をお聞かせ下さい。
 伊藤義明氏
トマトの場合、品種により種々異なる。現在の品種では水をしぼり過ぎると逆にマイナスになる面があるので、適度な灌水を実施している。

3-5.カーネーションの水管理について
 海宝正一氏
カーネーションの場合は主根がなくかろうじて生きている状態なので水管理が重要である。夏場は多くなく、少なくない状態でもってゆく。カーネーションの場合は水を切らしたらだめなので、この点、野菜とは異なる。

3-6.司会、耐暑性品種でほかに何かありませんか。
 協和種苗(株) 俵口泰生氏
ミニトマトでは耐暑性の良好な「ラブリー藍」「ラブリーさくら」がある。愛知県、鹿児島県、宮崎県、千葉県(旭市)で実績を積みつつある。
現在は昭和初期に比べて平均気温が2〜3℃高くなっている。千葉県の施設栽培で生かす野菜の中に「オクラ」があるので紹介します。
従来「オクラ」は四国、鹿児島県、宮崎県などの暖かい地方で栽培された作物である。作型としては周年栽培で、2月播種、4月定植、5〜8月収穫、切り戻しして12月まで収穫する。

4.害虫について
 司会、害虫の駆除がむずかしいと言う意見。0.4mm目合いのネットが有効である。と言う意見等があった。害虫について考える必要がある。特に、害虫はハウス内に侵入させないのだ、と言う事を念頭に入れる必要がある。
これに関連して日本ワイドクロス(株)より防虫ネットの紹介があった。

 日本ワイドクロス(株) 草場隆人氏
サンサンネット
1.0mm目合い、0.8mm、0.6mm、0.4mm目合い、など種々あるが温室コナジラミの様な小さな害虫に適用出来るのは0.4mm目合いである。最近では0.4mm×0.3mm,0.4mm×0.2mm目合いまで使われる様になってきた。しかし、目が細かいほど防虫効果はある反面、通気性が悪くなり、ハウス内が暑くなり高温障害が起こり易くなる。ハウス内温度のことを考えると0.4mm×0.3mmが限度かと思う。換気のことを考えると、天窓をふやす。ハウスサイド換気を肩部まで広げる。循環扇と天窓との併用。などが考えられる。防虫ネットは出入り口にも展張したほうが良い。防虫ネットを展張してからも一度消毒したほうが良い。
Q: 0.4mm×0.3~0.2mmの目合いのこまかいものの強度は?
A: 糸を細くしているので、こすれには弱くなっているが、引っ張り強さは変わらない。耳の部分は補強している。

5.キュウリの褐斑病対策について
 伊藤富男氏
ハウス内湿度を上げて果実の品質を向上させる条件は褐斑病が出易い条件となる。この対策について。

司会 対策
循環扇などを利用してハウス内の通風と換気を良くして、一日の内で湿度を下げる時間帯と湿度を上げる時間帯とを決めてハウス内環境を改善する。最小限の農薬散布を実施する。

6.その他
 槍木産業(株) 大木繁範氏
ハウス内および畑で作業する場合に使用する簡単な農用具の紹介。
(1) マルチパートナー マルチフイルム施行用具
(2) アルキメデス 畑を深耕する農用具
(3) 鍬類(馬鍬、狐鍬) ハウス内および畑での除草用具、管理用具

 
閉会の挨拶
 
司会 青木常任顧問
 今回、春夏の高温多湿の条件下での、省力、低コスト、安全、高品質生産を目指す目的で資機材フォーラムを開催した。種々活発な意見が出て有意義な会だったと思います。
次いで、2月〜3月頃に低温、弱光期での栽培資機材についてフォーラムを開催する予定ですので、積極的なご意見を賜りたいと考えています。

みかど化工(株) 峯岸社長
 会員の皆様方、指導機関の先生方、お忙しいところお集まり頂き有難うございました。賛助会員の資材および各種資機材についてご紹介いただきました。次回開催フォーラムにおいても生産者(会員)の皆様から資材・機器材について種々のご要望を積極的にお聞かせいただければ有り難いと思います。

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