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南房総地区切り花研修会開催される
 
 十九年三月七日、会員の要望に基づいて、地域研修会の一環として、安房地区生産者の切り花見学会を開催した。
 会員(生産者)、賛助会員、試験研究機関、農林振興センターの先生方など41名の参加のもとで、安房農林振興センター蓮見先生の案内で黒川園芸(館山市)、橋本園芸(南房総市白浜町)の研修を行った。尚、最終集合地である三芳村道の駅に大型バスが予定より早く到着したので、集合地の真向かいに立地する渡辺農園(渡辺勇氏経営 スーパーソーラー研究会理事)のキンギョソウ、ビワのハウス栽培の見学を行った。又、三芳村道の駅から黒川園芸までの途中、バス内で、蓮見先生から白浜町のキンセンカに関する説明をうけた。
 研修は天候にも恵まれて、バスの運行も順調で且つ渡辺農園の見学、バス内で蓮見先生の講義などもあり、当初の計画より内容が増えて充実したものとなった。
 大型バス内も快適であり、16時30分に三芳村道の駅で一次解散し、18時30分に千葉県農総研駐車場にて最終解散となった。
 研修会開催に当たっては、黒川浩氏、黒川幹氏、橋本貞司氏、渡辺勇氏、安房農林振興センター蓮見瑠子先生の甚大なるご協力があり感謝申し上げます。
 
1.渡辺農園(南房総市、渡辺勇氏、スーパーソーラー研究会理事)
 
 渡辺理事よりキンギョソウ、ビワのハウス栽培および直販を行っている事業について説明を受けた。

(1)キンギョソウのハウス栽培
圃場には白、黄、赤紫、ピンクのキンギョソウがきれいに咲き誇っていた。
  • 品種はメリーランド系(ミヨシ、タキイ種苗)。バタフライ系を試験したが、花弁の強いメリーランド系にしたとのこと。
  • 播種は7月。10月下旬〜11月上旬頃から切り出して、3月下旬で終わる。4月からはお客様に無料で開放する。
  • 被覆資材はソフトソーラー、およびスーパーソーラーを展張。ハウス内カーテンをすると花色が悪くなるので、カーテンは使用しない。
  • 品質重視なので、冬季は暖房(設定温度、最低13℃)を行い、且つ二番切りはしない。
  • 作付けは10cm×10cmのフラワーネットを使用し、6列植え。
  • 注) 5月からはビワの出荷が始まるので、労力はビワの方に向ける。
(2)ビワのハウス栽培
  • 被覆資材はソフトソーラーで、300坪のハウスに28本栽植。昨年2本間引いて、現在は26本、とのこと。
  • ビワのハウス栽培では高温障害が問題になるので、ソフトソーラーで高温障害を抑制出来ないかということで、ソフトソーラーを展張した。試験研究機関はソフトソーラーの展張効果に注目しているとのこと。
  • 品種、「富房」、「瑞穂」
  • 肥培管理、肥料をやりすぎると樹がいたむので肥料(8 - 11 - 12)は年に二回5袋ずつ計10袋投入する。
  • 収穫時期、5月初旬〜6月初旬。露地ビワとの差は一ヵ月。収穫後水を切って花芽分化を促進する。
  • 袋がけ作業、一本の樹で3回かけるので労働力がかかる。
(3)直売所および休息所
直売所では今朝収穫したばかりのキンギョソウの販売を行っていた。スーパーや花屋で販売しているものに比べて非常に新鮮な感じを受けた。休息所になっているハウスの中にはドラゴンフルーツ、パパイヤ,ブーゲンベリヤ、シンピジュウームなどの熱帯植物が植えてあり、お客を楽しませる工夫がなされていた。

 
2.黒川園芸(館山市、ストックの育種及び生産販売)
 
黒川氏はストックの育種家であり、生産者でもある。高校卒業以来ストックの品種改良に取り組み、ストックの育種で日本園芸学会功労賞を受賞した。ストックに関しては日本を代表する育種家であり、生産者でもある。

黒川浩氏の話。
昭和25年から育種の研究を始めた。ストックの原産地はヨーロッパの雨の少ない地方であり、館山の自然環境を生かしてハウス栽培を始めた。
昭和31年に黒川早生を発表し、以来これまで60品種を発表し、35品種を品種登録している。現在はご子息の幹氏にバトンタッチしており、自分は基本的な事をやって見たい、とのこと。育種→採種→種の販売→利益、利益になるようにするには大変なことである。

主な品種と最近の動向
主な品種としては *極早生一本立系品種、*スプレー系品種(カルテットシリーズ)、*早生・中生一本立系品種(アイアンシリーズ)、*露地用品種等がある。中でもアイアンタイプが主流で、9月初旬播種、翌年2月中旬開花する。

アイアンタイプの特徴
(1)茎がしっかりしている。(2)花がつまっている。(3)水揚げが良い。(4)長持ちする。 茎の硬さはとくに重要な要素である。
色相は白、ピンク、赤、クリームイエロー、ブルー等。原色系は海外で好まれるが、日本では淡い色合いのものが好まれる。
これからの売れ筋はピンク系で、ピンクアイアン、チェリーアイアンなど、アプリコットアイアン、イエローアイアンもかなり需要があると思われる。

今後の方向性
育種の方向性としては、栽培し易い鑑別不要品種の育成が潮流となっているが、鑑別不要品種は花色が白とクリームしかない。平成15年発売のイエロースパークは茎が硬いスプレー系品種であり好評である。平成17年発売のホワイトスパークも注目される。
鑑別不要品種の育成に伴い、今後は直播が増えることも考えられる。スプレー系品種は今後も少しずつ増えると考えられる。
極早生一本立系品種は茎が硬い品種のみ普及していくものと思われる。花壇・コンテナ栽培向けの品種についても改良を進めていく。

今後の課題
  • 葉に毛のない品種はコナガに食害され易い。これらの改良。
  • 矮性品種の開発。矮化剤を使用しないで草丈20〜30cmのものの開発。
  • 分枝が旺盛な品種の開発。など
 
3.橋本園芸(南房総市白浜町、キンセンカ、キンギョソウ栽培)
 
橋本貞司氏(JA安房金仙花部会部会長)の話
部会員 120名、殆んどキンセンカの栽培を行っている。
出荷 すべて共選で出荷している。平成18年度組合出荷額は約1億円。
価格 30〜50 ¥/1本。
今年は暖冬なので開花期が早まった。価格的に高い時期は3月14日〜20日頃で、お彼岸が目当てであり、50円/1本の価格になる。
品種 オレンジスター、花色は、オレンジの需要が多い。

橋本氏圃場のキンセンカは丁度つぼみの状態であった。お彼岸の頃に丁度良い状態になるように栽培管理を工夫している、とのこと。
一方、キンギョソウのハウス栽培は殆んど終りの状態であった。
 
4.白浜町のキンセンカ栽培について
 
演題 産直農業の実態と今後の方向
安房農林振興センター長
蓮見瑠璃子
道の駅雛の里から黒川園芸までの間、バスの中で蓮見先生より白浜町のキンセンカ栽培について説明を受けた。概要は下記の通り。

(1)白浜町の概要
 房総半島最南端の町、黒潮の影響を受け年平均気温16℃という無霜地帯。冬季の温暖な気候を利用して、花の栽培が行われ、1月からは花が畑を埋め尽くし、花畑と青い海原が織りなす景観は魅力的な地域資源になっている。この地域に適した「キンセンカ」栽培の歴史は古く大正11年にさかのぼる。現在は日本一の生産量となっている。

(2)栽培の概要
栽培の概要は表1、に示す通り
 *品種:オレンジスター、南ヨーロッパ原産

表1、栽培の概要
1、暮れ出し 2、彼岸だし
播種 8月下旬 播種 9月下旬
定植 9月下旬 播種 10月中旬
摘心 10月中旬 摘心 11月上旬
出荷 12月上旬

1月上旬
出荷 1月下旬

3月中旬

(3)粗生産額
粗生産額は表2、に示す通り、(平成11年生産農業所得統計より)

表2、粗生産額   単位百万円
順位 市町村 粗生産額 順位 市町村 粗生産額
1 白浜町 309 4 和田町 28
2 千倉町 138 5 東浦町 26
3 津名町 88 6 鴨川市 19
注、津名町:兵庫県、 東浦町:兵庫県
注、平成18年3月に白浜町、千倉町、和田町は合併して南房総市となった。
 
千葉県における洋ラン栽培の現状
千葉県農政課 佐々木教子
1、生産状況と品目
 千葉県は全国第2位の花き生産県です。その中で洋ラン生産は平成16年度の出荷量は鉢物で第6位、切花生産では第3位となっています。
 生産の歴史は、昭和50年代後半からシクラメン、ペゴニア,観葉植物の大型施設栽培が増加し、これと同様、洋ランの生産も増えていきました。当初はシンビジュウムが多く生産されていましたが、現在は鉢物、切花いずれもコチョウラン、カトレアを基幹品目としてオンシジュウム、パフィオペディラムといった補助品目を組みあわせた生産が多くされています。生産者は安房、海匝、千葉など全県に広がっています。

2、種苗の導入
 ランの場合は培養技術によらないと苗生産が出来ないため、苗は専門の種苗業者から導入することがほとんどです。戦前は高嶺の花であった洋ランは、培養技術が進んだことにより、生産者が一気に増えました。
 苗の導入方法には小さなフラスコ苗を購入する場合と、ある程度大きく育成した株を導入するリレー栽培の2通りあります。通常フラスコ苗から,育成,開花,出荷するまでには品目、品種に差はありますが,約4年かかります。
 リレー栽培は海外の専門業者から購入した株を、育成、開花調整をし、短期間で出荷するという栽培方法です。ランは植え込み材に土を使用しないため、輸入が可能です。千葉県では空港から近い地の利を活かし、取り組んでいる農家も多くみられます。しかし、この栽培方法は大きな資金力が必要となります。
 フラスコ苗は種苗業者のパテント品種や生産農家の依頼したメリクロン苗が中心です。

3、生産方法
  • 植え込み材
    以前はミズゴケが多く利用されていましたが、現在、すべての品目で多く使用されているのはバークです。モミ等の木の樹皮をチップ状に破砕したもので、大きさ、腐熟度の異なる商品があります。ミズゴケに比べると安価であり、また植え込みが容易で個人差が少ないのと,間隙が多く水管理がしやすいという利点があります。他にも多様な商品がありますが、安定した状態、供給体制が望まれます。
  • 施肥,潅水
    液肥と置き肥を組み合わせ使用しています。千葉県は海に近くpH値が高い地区が多いため、潅水に用いる水は酸で調整したり、一度プールに汲み置きし、カルシウムを除去して用いるケースもあります。
  • 開花調節
    コチョウランはクーラーによる低温処理、カトレアは電照による日長処理などの方法がとられています。
4、販路、販売方法
 市場出荷は主に東京、関東圏内へされています。また、生産者の農園で直売しているケースも多く見られます。
 用途として鉢物はギフトが主で、切り花は近年では冠婚葬祭用の花としての需要が高く、年間安定した供給が求められています。

5、課題
 花き産業全体に共通して言えることですが、供給過剰で価格が低迷しています。平成17年度は卸売り価格が前年比マイナス3%となりました。ほかの品目に比べると施設、資材などの生産コストが高いため、大きな資金力が必要であり、生育温度が高いので、暖房にかかるコストも大きくなります。今後は生産コストを抑えた、良品生産が望まれます。
 ランはまだまだ高級ギフトや趣味家のものという意識が強いのですが、花の観賞期間が長く,様々な品目、品種があることから、低価格で提供できる商品で、幅広いホームユースを開拓していくことができると思います。

当社の全てのフィルムは、農作物栽培現場におけるフィルム劣化促進作用を軽減するために、特許第2138850号に基づいた特殊配合を施してあります。 Copyright Mikado Chemical M.F.G Co. All Rights Reserved.
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